KUEBIKO(クエビコ)
『 4 MINUTE WARNING(4ミニット・ワーニング) 』

SIEGE(シージ)と同郷のマサチューセッツ州ウェイマウスからパワーバイオレンス・バンドのデビューEP。猟奇的なジャケットが象徴しているように、パワーバイオレンスのなかに猟奇的な要素を取り入れている。とくにリバーブとこもったような雑音を混ぜたボーカルからは、猟奇殺人のような気味が悪く、聞いたあとに感じる後味の悪さが印象的だ。

 

“人間廃棄物”、“人口増加”などの歌詞からは、どこか人間を不要なものとして見下している視線を感じる。猟奇さパワーバイオレンスに取り入れたという意味では、新しい価値観を提示したバンドなのだ。

こちらからダウンロードできます。

Better Run(ベター・ラン)
『 The Fight For Mother Earth(ザ・ファイト・フォー・マザー・アース)』

オーストリアはウィーン出身のヴィーガン・ストレートエッジ・バンドの2作目のEP。日本語で『母なる大地のための戦い』というタイトル通り、環境保護から反戦争、アニマルライツ、酒と薬物の全面否定などの信条を掲げ、活動しているバンド。

 

サウンド的には、EARTH CRISIS(アース・クライシス)からの影響は全くなく、Youth Of Today(ユース・オブ・トゥディ)直系の、メタル色がまったくないユースクルー。気合の入った低くドスの効いたボーカルの歌声だが、そこには怒りや憎しみといった感情は感じられない。相手を説得するような許容力を感じる。

 

“To Live Free(自由に生きるため)”の<共通点が見つけられることを願っている。生命、地球、私たちが呼吸する空気、私と共有するすべての存在。>という歌詞にある通り、彼らのヴィーガン・ストレートエッジ思想は、相手を攻撃したり、押し付けるものではなく、思いやりを持って理解してもらうこと。そしてみんなで力を合わせ良い方向に向かっていく。そんな理念を掲げている。<学ぶことと人を愛する事を止めるな。思いやりと共感を持て。>優しさにあふれたヴィーガンストレートエッジ思想を持ったバンドなのだ。

Change(チャンジ)
『 Closer Still(クローザー・スティル)』

シアトル出身のユースクルー系ストレートエッジ・バンドのデビュー作。アメリカで評価がかなり高い作品で、ユースクルー・リバイバル・シーンではありえなかった、ユース・クルーの進化系サウンドを展開している。

 

Uniform Choice(ユニフォーム・チョイス)やInstead(インステッド)、YOUTH OF TODAY(ユース・オブ・トゥディ)などのユースクルー・サウンドをベースに、メロディーのバラエティーが豊富なギター、挑発的にブンブンうねるベースなどを加え、さらに進化させた。静かに厳かに闘争心をかきたてるギター。ドスの効いた男くさいOiコーラス。そこには絶望や困難に正面から立ち向かうような気合の入った姿勢がうかがえる。

 

歌詞は、喪失や不安、鬱病などの心の病との闘い、という内容が占められている。とくに“Beyond(ビヨウンド)”では、<私たちはとても孤独で孤立の壁の後ろには魂の荒廃がある>と、鬱病の病んだ精神について歌い、心の中で叫んでも誰にもわかってもらえない孤立の苦しみが伝わってくる内容だ。

 

バンドであるChange(変化)とは、変わらなければいけない自分、変わっていける自分、という意味が込められている。鬱病から立ち直るための手段。絶望から希望へと変わっていくための心の変化。社会も自分自身も欠点を受け入れ、ともに成長していく。そんな理想論を掲げ活動しているバンドなのだ。

 

サウンド的にもかなりユニークな個性があるし、ユースクルー・リバイバルのなかでは圧倒的に飛びぬけていい作品。2020年のハードコア・ベスト10のなかに入るほど、個人的に好きな作品。