Soul To Keep(ソウル・トゥ・キープ)
『STUCK ON A FEELING (スタック・オン・ア・フィーリング)』

ノースカロライナ州ローリー出身のハードコア・バンドのデビューEP。Sheer Terror(シェラー・テラー)やEARTH CRISIS (アースクライシス)などのニューヨーク・ハードコアからの影響が強いバンドで、ドスの効いたボーカルとノイジーで強靭なサウンドが、彼らの特徴。

 

歌詞は、不安や憂鬱、努力を怠るくだらない人々に対する対処法について。彼らが向かっている怒りの矛先は自分自身。自分の欠点を乗り越えるため、ストイックなまでに内省的でいる。

 

サウンド的には、シンプルなニューヨーク・スタイルのハードコアだが、矢継ぎ早で簡潔なボーカルと、ハードコア・パンクのようなギターのリフからは、90年代の懐かしさを感じさせる。ニューヨーク・ハードコアのやさぐれた不良性とストイックな部分を合わせたバンドなのだ。

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Nuclear Power Trio(ニュークリア―・パワー・トリオ)
『A Clear and Present Rager (ア・クリアー・アンド・プレゼント・レイジャー)』

アメリカ元大統領のドナルド・トランプ、ロシア大統領のプーチン、北朝鮮総書記長の金正恩のマスクをかぶった3人組によるインストルメンタル・バンドの、20年10月のアメリカ大統領選に合わせて発売されたデビューEP。

 

バンド名のNuclear Power Trio(ニュークリア―・パワー・トリオ)とは、核爆弾を保有し、落とす可能性のある、危険人物の3人という意味が込められている。だが同くドナルド・トランプのマスクをかぶった、グラインドコア・バンドのAnal Trump(アナル・トランプ)のようなトランプ嫌悪といった姿勢はない。むしろ笑い飛ばしているパロディーのような姿勢が伝わってくる。

 

そのサウンドはギター、ベース、ドラムのみのインストルメンタル。スパニッシュギターから、Derek & The Dominos(デレク&ザ・ドミノス)の“いとしのレイラ”のようなギターメロディー、フィンガースタイルギターにスラップベース、高速連射のドラムなど、高度なテクニックと演奏力の高いサウンドを展開している。

 

そのサウンドから得られる情感は、爽やかでピースフルな心地よさにあふれている。世界のなかで危険人物といわれる3人がバンドを結成し、パーティーに明け暮れる姿は、お茶目なユーモアにあふれている。

 

3人ともいがみ合わず傲慢な姿勢を捨て、パーティーに明け暮れ楽しめば、平和な世界がやってくるのに。そんなメッセージが込められているようにも思えた。かなりインパクトが強く、滑稽な楽しさと明るさにあふれた作品なのだ。

Feverchild(フィーバーチャイルド)

ベルギー出身のエモーショナル・ハードコア・バンドのデビューEP。Texas Is the Reason(テキサス・イズ・リーズン)やMineral(ミネラル)、Christie Front Drive(クリスティー・フロント・ドライブ)にThe Get Up Kids(ゲッド・アップ・キッズ)らの影響が強いエモーショナル・ハードコアを展開しているバンド。

 

ボーカルの歌声はThe Get Up Kids(ゲッド・アップ・キッズ)のMatt Pryor (マット・プリオール)に似ており、そこに感じやすく傷つきやすいセンシブなギターのメロディーが絡み、憂鬱さや悲しみなどの内省的な感情を喚起させる。

 

Stargazing(天体観測)では、<最後の別れを告げて星が燃え尽きるのを見た>と歌い、夜空の星を見ながら、流れ星と彼女との別れという言う運命を照らし合わせて歌っている。

 

Turn Away From The Sun(太陽から離れる)では、<この家庭にはこれ以上の快適さはない>と、反抗期特有の家を出ていきたい感情について歌っている。

 

Fever Dream(フィーバー・ドリーム)では、<私が知っていることはすべて夢になった。(最悪の)夢を見ながら生きた人生へ>と、夢が破れて挫折したことについて歌っている。

 

ここでは語られているのは、挫折や別れの予感などの、うまくいかない思春期の甘酸っぱい経験。まさに青春の1ページを感じさせる内容なのだ。

 

サウンド的にはけっして目新しさはないが、現在のアメリカではこれほどナイーブで繊細なメロディーを持ったバンドはいない。心にしみるメロディーで、古きよきものを現代に復興したバンドなのだ。

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