A Day to Remember(ア・デイ・トゥ・リメンバー)
『What Separates Me from You(ワット・セパレート・ミー・フロム・ユー)』

 

What Separates Me from YouWhat Separates Me from You
A Day To Remember

Victory Records 2010-11-15
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10年発表の4作目。今作も前作と同じくらいのクオリティーを保ったいい作品に仕上がっている。前作『ホームシック』は、ビルボードのインデペンデント・チャートで1位を記録し、彼らの最高傑作と呼び声高い作品だった。今作を制作する上でモチベーションとなったのが、前作のヒットだそうだ。世間から『ホームシック』が最高傑作と評価されればされるほど、彼らには重荷になっていた。過去の自分たちを超えることが、今作を作る動機になっていたという。

 

そんな彼らの世情がアルバム全体に反映されており、熱い作品に仕上がっている。サウンド的には今作も前作で確立したメタルコアのメロディック・パンク化というサウンド・フォーマットに変わはない。変わった部分を強いて挙げるのなら、ニュー・ファウンド・グローリーからの影響がなくなり、サニーディ・リアル・エステイト系のエモのメロディーを取り入れた部分か。あとはメタルコアな曲やメロディック・パンクの曲など、折衷スタイルではないストレートな曲が目立つ。

 

サウンドを重視した今までの作品とは違い、今作では情緒的だ。絡み合っていた要素を2つに切り離すことが、アルバムのコンセプトだ。具体的に説明するなら、人間社会から自閉症のように隔絶された自分と、友達とコミニケーションをとる社会性にあふれた自分。善と悪。岐路に立たされどの道を選択するかの決断などだ。たとえば“ベター・オブ・ディス・ウエイ”では<人生の壁をこわす自分を誇りに思う/またはそこで躓いたら、最後に戻ってまたやり直す。私の人生は待つことに費やされた>と歌い、壁を壊している自分と、壊せる時期まで待った自分の気持ちを歌っている。“オール•アイ•ウォント”では、<私は正直なものを維持したい。私はあなたの人生の賭けた。私はあなたのすべてを疑問に思っておくことを憎む。そして壊れたため後悔を保存。>維持するものと、それを捨てて賭けに出ることの2つの気持ちを歌っている。

 

その2つの要素から決断にする感情とは、人生の困難に立ち向かい前へ進んでいくような熱さ。そこには逡巡や優柔不断な感情はない。選択しやるだけのことをやって駄目ならしょうがないと覚悟を決めた決意を感じる。熱く情熱的な姿勢の裏側に、桜のように散っていくような清々しさと潔さがあるのだ。

 

そこには、今作でこれだけ熱い作品を作った。これで前作を超えることができなければ、しょうがないではないかと、覚悟を決めた決意を感じる。前作を超える作品を作るという意気込みが、全作品のなかで一番熱く情緒的な作品に仕上がった理由だろう。自分の感じたことをありのまま吐き出した感情。過去の栄光と闘い、挑む気持ちが今作という傑作を作ったのだ。個人的には今作も前作と肩を並べるくらいこの作品が好きだ。