Against Me! (アゲインスト・ミー!)
『Total Clarity (トータル・クラリティー)』

Total ClarityTotal Clarity
Against Me!

Fat Wreck Chords 2011-05-22
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11年にファットレック・コーズから発表された『サーチング・フォー・ア・フォーマー・クラリティー』のデモ音源。『アズ・ザ・エターナル・カーボーイ』のデモ音源、『オリジナル・カーボーイ』に続き発売された作品だが、よほど彼らのデモ音源には需要があるのか、今回もまたファットレック・コーズから発売された。

 

その内容は、『サーチング・フォー・ア・フォーマー・クラリティー』と『トータル・クラリティー』で曲名がかぶる曲は、アレンジの肉付けがされていないデモ音源のまま。計11曲が収録されている。『トータル・クラリティー』のみに収録されている未発表曲は、“エグハースチョン・アンド・ディスガスト”と“ロスト・アンド・サーチング・イン・アメリカ”の2曲。アトランタのロックバンド、ブレインズの“マネー・チェンジズ・エヴリシング”のカバー曲が収録。“サーチング・フォー・ア・フォーマー・クラリティー”が“トータル・クラリティー”と名前を変えアレンジ違いで収録され、計3曲の未発表曲と、アレンジ違いが12曲の計15曲が収録されている。

 

これを聴けば、エモ界の名プロデューサーといわれたJ・ロビンスの趣向性が見えてくる。前回のデモ音源集の『オリジナル・カーボーイ』よりも、ギター・アレンジを導入し、隙間なく音を詰めこんでいる。しかも曲をボツにし、新たな曲と入れ替えたり、細部にまで音のこだわりをみせている。今作に限っていえば、そのアレンジのこだわりが、前作と似たような作品という評価を回避し、飛躍的に進歩した作品になっているのだ。名プロデューサーのこだわりが劇的にアルバム全体を良くしているのだ。

 

ネイキッドでむき出しの生々しさがあった『オリジナル・カーボーイ』から研磨するように丁寧な仕上がりになった『エターナル・カーボーイ』と比べると、『トータル・クラリティー』からいろいろな音を加えていった『サーチング・フォー・ア・フォーマー・クラリティー』への仕上がりの過程は、全く違っていて面白い。その変化の過程を比べるだけでも価値のある作品だ。