Bad Religion(バッド・レリジョン)
『Stranger Than Fiction(ストレンジャー・ザン・フィクション)』

Stranger Than FictionStranger Than Fiction
Bad Religion

Epitaph / Ada 2018-03-08
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ついにメジャーデビューをはたした94年発表の8作目。当時アメリカでは、アンダーグランドミュージックだったパンクが盛り上がり、この年にはグリーンディの『ドゥーキー』が1000万枚売り上げ、オフスプリングの『スマッシュ』も700万枚売れた。NOFX、ランシドなどのパンクバンドも有名になり、パンクが一大ブームの兆しをみせていた。バッド・レリジョンもその流れに乗り、メジャーデビューをはたすことになった。当時まだメジャーとインディーの垣根は大きく、ハードコアシーンの重鎮であったバッド・レリジョンがメジャーへ行くことを周囲はセルアウトと捉え、否定的な意見が多くをしめていた。

 

だがバッドレリジョンはメジャーへ移籍しても、変わらなかった。政治的な歌詞もさることながら、アティチュードのスタンスも、パンク精神を貫いた。

 

そんな状況で発表された『ストレンジャー・ザン・フィクション』は、2ビートのメロディック・ハードコアに変わりはない。だがどこかオルタナティヴ・ロックを意識したサウンドになっている。いままでのバッドレリジョンは外へ向かって激しくアジテードするバンドであった。それが今回、凍える寒さのような張り詰めた緊張感がアルバムを支配し、内面へ向かった曲も存在する。

 

当時まだメジャーの世界では、グランジの残滓が残り、どのバンドも内面的な暗さを表現していた。バッド・レリジョンもプロデューサー、アンディ・フォレスの手によって、内面性という、新しい表現が加えられた。それによって、2ビートのメロコアという枠の中でヴァラエティーに豊かに仕上がっていた。表現の幅も広がった。パンク精神を保持しつつメジャーへ挑戦した意欲作だ。