CIRCA SURVIVE(サーカ・サヴァイブ)
『The Inuit Sessions EP(ザ・イヌイット・セッションズ・EP)』

元saosin(セイオシン)のボーカル、アンソニー・グリーンによる結成されたバンドの05年に発表されたデビューEP。おそらくこのバンドがエモにプログレの要素を取り入れた、初めてのバンドではないか。デビューEPながら異彩を放っている。エモーショナル・ハードコアの静と動のアップダウンのあるサウンドに、プログレ調の浮遊感とサイケデリックなギターを合わせた。なりより特徴的なのはボーカル。歌い方はスクリーモそのものだが、その声は華奢で神経質でナイーヴ。まるで少年の悲痛の叫びのような悲しみと孤独に満ちている。そこからつむぎだす感情は、袋小路に追い詰められたときのような絶望感。暗く混乱した陰鬱な世界がある。

 

そのサウンドはメロディーでポップなサウンドながらも、暗く陰鬱。心の皮をはがされ、自分の弱さやダメな部分を剥き出しにされるような気分になる。奇異な怪物のジャケットを含めて、すべてが新しい。この時点でオリジナルティーがあるし、価値あるEPだ。