City Of Caterpillar(シティー・オブ・キャタピラー)

City of CaterpillarCity of Caterpillar
City Of Caterpillar

Level Plane 2003-06-20
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02年に発表されたデビュー作にして最後の作品。エモからスクリーモ、カオティック・ハードコアにシーンが変わっていく過程に現れたバンドで、そのサウンドは現在ではリアル・スクリーモと呼ばれている。

 

このバンドもジュリアと同様に、テキサス・イズ・ザ・リーズンに影響を受けたエモーショナル・ハードコアをさらに過激なサウンドへと進化させたバンドのひとつだ。このバンドの特徴はアップダウンするエモのサウンド形態に、不気味な静寂のメロディーが延々と続く中期ソニックユースのサウンドスタイルや音が反響する幻想的なスライドギターなどの要素を加えた部分にある。

 

不気味な静寂のなかにキラリと光る万華鏡のように幻想的で美しいメロディーと、洪水のように襲いかかるノイズギターの音の壁。激しさと静かさが交互に繰り返されるサウンドには、渡ることのできない川の岸辺で一人ぽつんとたたずんでいるような寂しさが漂っている。対岸にある華やかで人の賑あう世界。そこにたどり着くことのできない寂しさや悔しさ。そんな感情がどことなく漂っているのだ。

 

この暗く陰りのある美しさは、後世のバンドに多大な影響を与えた。初期スクリーモのなかでも独特な世界観を持ったバンドといえるだろう。