CODE ORANGE(コード・オレンジ)
『FOREVER(フォーエバー)』

ForeverForever
Code Orange

Roadrunner 2017-01-12
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ピッツバーグ出身のハードコア・バンドの3作目。ハードコアのジャンル分けをする際、彼らカテゴライズする言葉は難しい。メタルコアとしてジャンル分けをしているサイトやレビューが沢山存在するが、シャドウズ・フォールやキルスイッチエ・ンゲージのようなメタルからの影響は全くない。かといってフガジから発展したポストハードコアでも、アースクライスから進化したニュースクール・ハードコアでもない。強いて言うならポスト・カオティック・ハードコアとでも呼ぶべきなのか。

 

そのサウンドは初期コンヴァージの影響を色濃く感じる。初期コンヴァージのサウンド・スタイルをベースに、ブレイクダウンや暗黒ドローン、殺伐ノイズなどを練り込み、不気味な静けさと、おどろおどろしい暗黒な世界をイメージさせるサウンドを展開している。自身が奇妙で実験的なバンドを目指しているという発言通り、シンプルなハードコアにプラスアルファを加え、独特なサウンドを展開している。ハードコア界でも奇異な存在なのだ。

 

そして3作目となる今作では、korn(コーン)のようなゴズやギターのリフ、ヘヴィーロックの要素が強まっている。ノイジーでスピーディーな曲から、後半に進むにつれてスローでダウナーな曲が増えていく展開。1曲を除いてハードコアのスピーディーな曲がなくなっているが、ノイズ度や暗黒度が増し、前作よりも過激な作品になっている。Kornのサウンド・スタイルをさらにノイジーに、ストナーに、暗黒ドローンに進化させたサウンドといえるだろう。

 

そこで鳴らされている音楽は、魔界暗黒ノイズアンビエントドローンといったサウンド。終始、落ち着きのあるトリップ感に覆われている。まるで魔法陣の前で呪いの言葉を呟くような、不気味な落ち着きと邪悪な空気に満ちている。もはやここまでくるとハードコアではないが、ハードコアを通過した最先端のNU METAL(ニューメタル)といえるだろう。

 

彼らのサウンドは最新のNU METAL(ニューメタル)であることに間違いはない。だが鬱と躁で分けるのなら、鬱の側で鳴らされているサウンドだ。メタルに発散や過激さや刺激といった躁側の音を求めている人からすれば物足りなく感じるだろう。だから彼らのサウンドはおそらくメタルの主流になることはけっしてない。だがここでは独特な世界観と、彼らならではのオリジナルティー追求したサウンドが鳴らされている。彼らならではのメタルの亜流を追求しているのだ。素晴らしい作品。