COPELAND(コープランド)
『EAT,SLEEP,REPEAT(イート、スリープ、リピート)』

Eat Sleep RepeatEat Sleep Repeat
Copeland

Militia 2006-10-30
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06年発表の3枚目。コープランドの音楽キャリアとして頂点に達した作品。1枚目のクリスチャンメロディーと、2枚目の無機質で冷たいメロディーを持つギターロック路線を合わせた。ピアノとギターのメロディーフレーズが交互に入れ替わる作品となった。

 

まず曲作りの工程は、骨組みとなる原曲を作り、ワンフレーズごとに、ピアノ、キーボード、ギターのなかから、一番綺麗な音を選び制作されたという。単に音を肉付けしたのではなく、隙間を埋める余分な音を削ぎ落とした。シンプルな構成でありながらも、複雑な音の色彩をみせている。 

 

キラキラ光るギターのアルペシオや、憂鬱さを含んだ透明で繊細なボーカル、厳かなピアノが、孤独や悲哀、不安や淋しさを表現し、緩やかで穏やかな旋律にのせ、美しいハーモニーを奏でている。前作の心が清められるような懺悔や悔悛といった想いも、今作では全体的に暗く憂鬱な曲が多い。その理由に今作では眠れない夜や、愛や信頼に対する不安といった内容がテーマになっているようだ。

 

楽しい時期は一瞬にして過ぎ去り、やがて訪れる悲しみや苦痛。そんな心の奥底に潜むダークサイドに焦点をあて、悔悛や試練といった救済の言葉を投げかけている。聴き終えた後に感じ取れることの出来る優しさ。敬虔なクリスチャンとだけあって、その言葉から感じ取ることの出来る良心や教訓には深く重みがある。

 

コープランドの音楽には、誰もいない部屋で、ひとりおもちゃで遊んでいるときのような孤独と寂寥がどこか漂っている。そしてその孤独と寂寥には、世の中の不満や怒りにたいして、攻撃的に外へぶちまけることの出来ない、若者の気持ちを代弁している音楽ともいえるだろう。言いたいことも言えず、内へ溜め込む内向的でか弱い人たちへ、美しさと穏やかな優しさで救いの手を差し伸べた音楽なのだ。