New Found Glory(ニュー・ファウンド・グローリー)
『Radiosurgery(レディオサージュリー)』

レディオサージュリー レディオサージュリー
ニュー・ファウンド・グローリー

SMJ 2011-10-04
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11年発表の7作目。前作の原点回帰の延長上にある作品。今作も同じくギター、ベース、ドラムのシンプルな構成。微妙な変化だが、変わったところといえば、ギターサウンド。前作の重く叩きつけるようなギターから、バリバリと音が歪むギターに変わった。

 

今作のテーマは<ポップ・パンクス・ノット・デッド>。30年前にハードコア・バンドのクラスが<パンク・イズ・デッド>に反発して、同じくハードコア・バンドのエクスプロイデッドが言った<パンクス・ノット・デッド>に由来する。おそらく彼らが<ポップ・パンクス・ノット・デッド>と発言した理由は、エクスプロイデッドと同じ心境だったからだろう。ブリンク182やサム41、シンプル・プランといった大御所たちは、解散せず、いまでも活動を続けている。だが、ここ数年メロディック・パンクの勢いがなくなってきた。とくにモーション・シティー・サウンドトラック以降、デジタル化が顕著になった。バンド編成のシンプルなメロディック・パンクを展開している新人といえば、オール・タイム・ローくらいしか育っていない。もはやメロディック・パンクは、飽きられた感がある。資本家による富の搾取が始まった昨今、ノー天気で明るく楽しくサウンドは、時代にそぐわなくなってきたのだ。

 

そんな時代だからこそ、<ポップ・パンクス・ノット・デッド>というアティテュードを打ち立てたのだ。その精神とは、太陽が照りつける青い空のようなサウンドと、ノー天気に明るく楽しくやっていこうという姿勢。彼らは、時代錯誤といわれようが、パンクではないと言われようが、その姿勢を貫こうと決意したのだ。今作ではいままでになく開き直っている。たとえば、“ アンセム・フォー・ザ・ アンウオンテッド”では、恋愛のどきどき感について歌い、“ドリル・イット・イン・マイ・ブレイン”では、彼女の心変わりを愛おしく感じゆるしてしまう瞬間を歌っている。そして “アイム・ノット・ザ・ワン”では彼女に告白するドキドキする気持ちについて歌っている。総じて日常的で楽しかった彼女との出来事を歌詞にしている。そこには悲しみのかけらは微塵もない。ドキドキする気持ちと毎日がバラ色のような楽しさしかない。そこには、意地や皮肉やこだわりは感じられない。ただ楽しきゃいいさという自然体で音楽を楽しんでいる姿勢がある。全作品のなかで一番明るく楽しいサウンドを展開している作品だ。

 

今作のメロディーは、初期パンクや初期ゼブラヘッドからの影響を感じる。いつもどおり、ドスンと響く重いギターのリフと、力強いリズムは健在で、すべてをメロディーの側に引っ張ってくるボーカルのハスキーで甘い歌声は相変わらず、すごい。ブリンク182やサム41が、軒並みシリアスな方向に向かっていったのに対し、彼らは、ノー天気で楽しいという姿勢を貫き通した。メロディック・パンクの魅力が詰まった作品だ。