We Came As Romans(ウィー・ケイム・アズ・ロマンス)
『Tracing Back Roots(トレーシング・バック・ルーツ)』

Tracing Back Roots by We Came As RomansTracing Back Roots by We Came As Romans
We Came As Romans

Equal Vision Records 2013-07-23
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13年発表の3作目。前作の路線をさらに推し進め、脱スクリーモを果たした。これがいい作品に仕上がっている。アメリカではビルボード・チャート8位に入るほど、高い評価を得ている。今作でも、デスメタルとデジタルの融合というサウンド路線に変わりはない。だが前作のメロディックを中心としたポップな要素が薄まり、デスやヘヴィネスを今作ではさらに強調している。そのサウンドは、例えるなら日本のバンド、マッド・カプセル・マーケッツの『システム・コンフリクト』というアルバムにある“ワールド”という曲に、構成が似ている。とはいっても彼らからマッド・カプセル・マーケッツからの影響は感じられない。その理由はメロディーそのもの影響の違いにある。マッドの場合、90年代のテクノや、機械的で無機質なデジタル音とデスメタルの融合だが、彼らは、00年以降のプログレやメロディックパンク、ディスコエモとデスメタルとの融合。メロディック側の音楽のベースはあくまでも00年以降の音楽から影響を受けている。くわしく説明するとそのメロディーには、ピップホップの暗くシリアスなピアノの音や、マーズ・ヴォルタからの影響を感じるプログレや青春コーラス、ディスコエモなどをうまく取り入れている。不気味なメロディーで死を覚悟したような不安な気持ちにさせながらも、デスパートで勇気を振り絞るような熱さを与えてくれる展開。そこには、どんなに不安で劣勢でも、立ち向かっていく熱さがあるのだ。それが終始テンションが落ちることなく、駆け抜けていく。それがこの作品の魅力なのだ。この作品は、メロディックパンクのような、女の子と何とかといったポップで軟弱な要素もなければ、スクリーモのような内省的で無機質な要素もない。熱くフィジカルで世間に立ち向かっていくという意味では、パンクしている。現代版のパンクだ。個人的には今年のベスト15には入っていくる。それほど好きな作品だ。