WE THE KINGS(ウィー・ザ・キングス )
『SMILE KID(スマイル・キッド)』

Smile KidSmile Kid
We the Kings

S-Curve Records 2009-12-06
売り上げランキング : 69232

Amazonで詳しく見る by G-Tools

09年に発表された2枚目。もはやエモやメロディックパンクの範疇を超えた。アメリカでの呼び名通りの典型的なパワーポップで、聴きやすく深化した。

 

今作ではピュアな純粋さを歌った内容こそ変わりはないが、ヴァラエティーニに富んだ作品に仕上がっている。牧歌的なアコースティックから、ネオアコ、ベン・フォールズ系のピアノ、ポップなデジタル音などを加え、もはやエモの範疇では収まりきらないサウンドに仕上がっている。アメリカではジミー・イート・ワールドとアカデミー・イズをブレンドしたサウンドというレビューも見かけるが、それ以上の出来。いろいろなメロディーフレーズがミルフィーユのように甘く幾重にも重ねられて、極上のポップソングを奏でている。メロディックパンク界ではいままでなかったメロディーで、彼らしかないオリジナルティーを確立している。

 

2作目でハードロックのギターメロディーを極める方向に向かったボーイズ・ライク・ガールやオール・アメリカン・リジェクツと比べると、その要素を少し残りつつも、ポップソングを極める方向に彼らは向かった。それがオリジナルティーを確立した要因だろう。

 

個人的には彼らの最高傑作だと思う。前作のピュアさや爽やかさを残しつつも、そこにほんの少しの切なさや、やるせなさを叫んだ青春の苦悩を加えたから。そのサウンドは、より感情の深みを増している。なにより甘く切ない歌詞やサウンドが共感を持てる。

 

オール・タイム・ローやコブラ・スターシップとかと並んで、新世代のメロディック・パンクを代表する作品だろう。