Face to Face(フェイス・トゥ・フェイス)
『Laugh Now… Laugh Later (ラグ・ナウ…ラグ・レター)』

Laugh Now Laugh Later Laugh Now Laugh Later
Face to Face

Imports 2011-06-05
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11年発表の作目。じつに9年ぶりの作品。おそらく本人たちも生活のためやファンの期待に応えるために、アルバムを発表したわけではないだろう。3作目以降、切ないメロディーと疾走感を全面に出した作品は作っていないし、個人的にも求めていない。それさえ求めなければ、初期3枚に次ぐいい作品だ。

 

基本的には荒々しいギターとメロディーが絡むメロコア。スピーディーな曲は少なく、どちらかといえば前作の延長上にあるサウンド。乱暴な言い方をすれば、前作のサウンドアプローチを、荒々しいギターコードとメロディーが絡む――全盛期のフェイストゥフェイスの演奏スタイルに、はめ込んだ作品といえるだろう。

 

とはいっても前作とは明らかに異なっている。その違いはチャドが復帰し、ギターが2本になったこと。そのため音の厚みが増した。もうひとつは、コーラスやアレンジがバラエティーに富んでいるところ。サウンドはハードコアに近く、あきらかに過去とは作風が違う。同じコードを何度も執拗に繰り返すハードコアな曲や、警告音のようなギターとネオサイケの要素をほんの少し加えた曲。早口でまくしたてる歌いまわしや、がなり声で歌うボーカルスタイル、Oiコーラスなど、いままでなかったタイプの曲がばかり。メロディーを前面に出した曲はない。そこにある感情は、熱く激しく力強く豪快な男臭ささ。全体的にアグレッシブで攻撃的だが、とくに西海岸特有のうだる真夏の太陽のようなカラッと明るさを内包した2、7、10曲目は、悩みを強引に吹っ飛ばすかのようなホジティヴなエナジーにあふれ、スカッと爽快な気持ちになる。それがこのアルバムのアクセントになっている。

 

おそらくこれだけバラエティーに富んでいる理由は、解散してからの9年間、彼ら自身の音楽趣向が、数年単位で変わったからだろう。解散していた間も曲を作り続け、長年にわたり貯めこんだ曲を、アルバムとして発表した。だから、バラエティーに富んだいい作品に仕上がっている。

 

とはいっても彼らの本質は変わっていない。歌詞は相変わらず悲観的で、皮肉に満ちている。世間に対する不満は変わっていない。<わたしはまだここにいる。けど大丈夫だ。とにかく問題はない、大丈夫だ。あなたは私の心に残る最後の存在>と歌う”アイ・ドント・マインド・アンド・ユー・ドント・マター”は、”A-OK”の延長上にある。両曲ともに傷心した自分について歌っているが、<大丈夫ではない>と歌い、自分のことで精一杯だった”A-OK”と比べると、相手を想いやっているし、人間的にも成長している。

 

歳を重ねてより激しく尖ったフェイス・トゥ・フェイス。悲哀を捨て、アグレッシヴな方向に向かったのは、評価できるし、なにより好感が持てる。いい作品だ。