Fartz (ファーティズ)
『Because This Fuckin World Still Stinks (ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンクス)』

Because This Fuckin World Still StinksBecause This Fuckin World Still Stinks
Fartz

Alternative Tentacles 1998-10-13
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シアトルを代表するハードコア・バンドで、のちに加入するアキューズドのボーカル、ブレインが在籍していたことで知られるファーティズの98年に発表された3枚のEPをまとめたベスト・トラック集。

 

その内訳は、1~9曲目までは81年に発表されたデビューEP『ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンク….』から全曲収録。10~25曲目までは、82年に発表されたEP『ワールド・フル・オブ・ヘイト』から全曲収録。26~35曲目までは90年に発表されたEP『ユー,ウィー・シー・ユー・クロウィング』から全曲収録。いままで発表された全曲を収録し、CD化された。

 

反レーガン政権のイベントに参加したり、ポリティカルな姿勢や歌詞もさることながら、サウンドやジャケットデザインも、初期クラスや初期ディスチャージからの影響が強いハードコアだ。ただこのバンドがクラスやディスチャージのコピーで終わらない理由は、曲を1分台にファストに縮め、メタルのギターソロを導入したところにある。その3つの要素が融合して、このバンドでしかありえないスタイルのハードコアのスタイルを確立したのだ。

 

『ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンク….』は、クラスからの影響が強く、ギターはパンクのように軽い音で、メロディー中心のサウンドだ。『ワールド・フル・オブ・ヘイト』はギターが重く分厚くなり、ギターソロがなくなっているのが特徴だ。ディスチャージからの影響が色濃くなり、ファストで重いサウンドだ。『ユー,ウィー・シー・ユー・クロウィング』は、8年ぶりという作品だけあって、前2作とは変わった部分がある。ギターソロが復活し、4ビートでスローテンポになった。ギターはノイズギターと2コードギターの2本で、コードの音の厚みにバリバリ響くノイズが加わり、さらに深みが増した作品に仕上がっている。

 

個人的には『ビコウズ・ディス・ファッキン・ワールド・スティンク….』の曲が一番好きだ。その理由はパンクとハードコアやメタルを混ぜたオリジナルなスタイルがあるから。だが全曲通じてむしゃくしゃした気持ちや怒りを叩きつけるボーカルや全曲ファストで2ビート2コードをベースにしている部分では共通している。そのむしゃくしゃした怒りを叩きつける姿勢が最高だ。あとに結成するアキューズドとは真逆のアティテュードなのが面白い。まさにハードコアの名盤の1枚に入る作品だ。