Frank Turner(フランク・ターナー)
『The Second Three Years(セカンド・スリー・イヤーズ)』

Second Three Years/Take to the RoadSecond Three Years/Take to the Road
Frank Turner

Xtra Mile 2013-10-14
売り上げランキング : 1205539

Amazonで詳しく見る by G-Tools

12年に発表された2枚目のアウトトラック集。収録内容は10年の『ロック&ロールEP』から4曲。『イングランド・キープ・マイ・ボーンズ』のデラックス・エディションのボーナストラックから3曲と、iTunes専用のボーナストラック1曲。シングル『ザ・ロード』から1曲。09年のBBC・ラジオ・セッションからボブ・ディランの“ソング・トゥ・ボブ”をカヴァー。コンピレーションアルバム『アンダー・ザ・インフルエンスVol.8』からブルース・スプリングティーンの“サンダー・ロード”をカヴァー。アイルランドのオルタナバンドのトリビュート『プレッジ:ア・トリビュート・トゥ・カーブドッグ』から“サリー”をカヴァー。ライヴアルバム『テイク・トゥ・ザ・ロード』からスコットランド民謡“バーバラ・アレン”をカヴァー。ミラクル・リージョンのフロントマン、マーク・マルケイの妻、メリッサが急死し、双子の娘たちを育てながら音楽活動を続けるマークを支援するため企画されたチャリティーアルバム『チャオ・マイ・シャイニング・スター』からマーク・マルケイの“ザ・クワエット・ワン”をカヴァー。1969年に活躍したミュージシャンを集めたオムニバス『1969:キー・トゥ・チェンジ』から、ザ・ファンデーションズの“ビルド・ミー・アップ・ベターカップ”をカヴァー。未発表曲から、NOFXの“リノリウム”と、1940年から1970年代にかけて活躍したイギリスのお笑い俳優フランダース&スワンの“ザ・スロウ・トレイン”の2曲カヴァー。BBCセッションからイギリスのポップ・アイドル、テイク・ザットの“ザ・グレイテスト・ディ”をカヴァー。バッド・レリジョンのトリビュート『トリビュート・トゥ・バッド・レリジョン』から、“マイ・プア・フレンド・ミー”をカヴァー。イギリスのオルタナ系音楽雑誌、Kerrang magazineから発表されたニルヴァーナのトリビュート『フォーエバー』から“オン・ア・プレイン”をカヴァー。自身のライヴアルバム『テイク・トゥ・ザ・ロード』から、既存曲とワムの“ラスト・クリスマス”をカヴァーの2曲収録。計22曲が収録されている。

 

前作で激しいタイプの曲を作った反動なのだろうか、ここでは渋く円熟味のある制御の効いた歌声の、大人のアコースティック・ナンバーが多数収録されている。ここでは実験的な要素は少なく、どちらかといえば、『スリープ・イズ・フォー・ザ・ウィーク』に収録されているシンプルなアコースティックな曲が多い。ほかにも、パンクナンバーの“トゥ・アブセント・フレンドズ”など、いい曲も存在する。今回のカヴァー収録曲は、イギリスの伝統を意識した内容が目立つ。とくにスコットランド民謡“バーバラ・アレン”は、イギリス人の原点まで遡っている。音楽を通してイギリス人とは、何者なのかを、見つめなおしている。全体の印象として、サウンドのコンセプトのない曲を集めた作品だから、シンプルに楽しんでいる。そこにはアレンジでの苦労など感じられない。コンセプトに縛られ幾分、窮屈に感じられたアルバムと違い、いい意味で肩の力の抜いている。深く考えないで作った曲たちといえる。フランク・ターナーのまた違った部分を楽しめる作品だ。