The Fight (ザ・ファイト)
『U.H.T.R.N.H.T.B! Promo』

ニューヨークはロングアイランド出身のハードコア・バンドの2作目となるEP。最近のニューヨークでは珍しいスタイルのバンドで、ギャングのような不良性が多いニューヨーク・ハードコアのなか、知的でユニークで異端な存在感を放っている。

 

そのサウンド、80年代のUKハードコアから影響に、SHEER TERROR(シアー・テラー)のニューヨークの伝統を合わせたサウンドを展開。ノイジーなギターからは、Chaos UK (カオスUK)やDischarge (ディスチャージ)からの影響を感じ、2コードでハイスピードにゴリゴリ押していくサウンドと地獄の怨霊のようなボーカルからはシアー・テラーの影響を色濃く感じる。

 

ぼくがユニークに感じる理由は、そのアティテュードにある。前作ではトランプ政権への批判や反キリスト、反体制的な内容が占められていた。まさにREAGAN YOUTH(レーガン・ユース)以来の皮肉と怒りに満ちたアナーコパンクだった。

 

今作では環境汚染と健康被害にスポットを当てている。スモッグなどの大気汚染が病を侵し、入院すれば高額医療費を取る。まさにジョージ・オーウェルの小説のような、金持ちや支配者層のためだけに、庶民が飼いならされ、搾取されことへの怒りがそこにはある。UK初期ハードコアのようにシンプルでなつかしさが際立つ作品だ。