Gospel (ゴズペル)
『 The Moon Is A Dead World (ザ・ムーン・イズ・ア・デッド・ワールド)』

Moon Is a Dead WorldMoon Is a Dead World
Gospel

Level Plane 2005-05-24
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05年に発表されたデビュー作にして最後の作品。コンヴァージのギタリスト、クルト・バルーによってプロデュースされた作品で、世間ではスクリーモとして認知されている。05年といえばユーズドやサーズディ、アトレイユなど、メタルから進化したスクリーモが席巻していた時代だ。そんなサウンドスタイルが流行していたときに、彼らはハードコアから進化したスクリーモで、周りとは違ったサウンドを展開していた。

 

その彼らのサウンドスタイルとは、スクリーモの絶叫に、エモーショナル・ハードコアのナイーブなメロディーやプログレの壮大な世界観を取り入れた。スクリーモとプログレの折衷スタイルのサウンドなのだ。12弦ギターが作り出す音が反響するメロディーに、変則的でトライバルな独特のリズムをたたくドラム、9分からなるプログレの壮大な曲に、ジミヘン的なくるくると性格が変わるギターの要素を加えた楽曲には、エクスペリメンタルで独特な世界観を追求している。そこには勢いと衝動に満ちあふれながらも、怒りと悲しみと寂しさが入り混じった感情が支配している。神経質で孤独に満ちあふれたメロディーと、限界を突き抜けるような衝動と憤りに満ちあふれたスクリームの調和には、ダンテの神曲のような特異で孤高の芸術性すら感じる。9分を超える遠大な曲もありながらも、衰えることのない勢い。スクリーモのなかでも独特な作品なのだ。