LAST DAYS OF APRIL(ラスト・ディズ・オブ・エイプリル)
『BEST OF LDOA(ベスト・オブ・LDOA)』

ベスト・オブ・LDOA(期間限定プレミア盤)(DVD付)ベスト・オブ・LDOA(期間限定プレミア盤)(DVD付)
ラスト・デイズ・オブ・エイプリル

インペリアルレコード 2008-01-22
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The Jesus and Mary Chain(ジーザス&メリーチェイン)などのノイズポップに影響を受けたサウンドに、アメリカン・オルタナティヴのローファイなギターを加えた音楽性へと幅を広げていったスウェーデンのエモ・バンドの、結成10年を記念して発売されたベスト盤。初期のレアな曲から、シングル・カットされた代表曲が、年代順にまとめられている。

 

年代を追ってあらためて聴くと、このバンドの音楽性がつねに変化してきたことがわかる。ノイジーなディストーション・ギターと、光の粒のようなシンセの音の組み合わせで、ダーティだが美しいサウンドを展開する「エンジェル・ユース」。シンセのオーバーダブなどの余分な音を排除し、シンプルなギター・アレンジを中心にミニマムなサウンドで、静謐や寂寥感を演出した「アセンド・トゥー・ザ・スターズ」。ポップで軽快なリズム・ギターを中心に素朴なアレンジで、喪失感を表現する「イフ・ユー・ルーズ・イット」。練られ選び抜かれたギター・アレンジで、極限まで音が研ぎ澄まされて、いわばローファイからハイファイに変わった「マイト・アズ・ウェル・リブ」……と、アルバムごとにいろんな音楽性にチャレンジしてきた。

 

だが、自分のやりたい音楽をとことん追求する熱意や、ギター・アレンジやメロディーの断片から感じ取ることの出来る神経質なほどの繊細さ、切なさは、全曲を通して変わっていない。悲しみを乗り越え強く生きようとする姿勢には、沈む夕日を見てわけもなく切なくなるような、そんなセンチメンタリズムが漂っている。彼らは、サウンドが変化することでむしろ、感じやすくナイーヴな、変わらない自分でいられたのだ。か細く繊細だった彼らも、挫折や悲しみを経験することによって、成長し、強くなった。10年の成長の過程が、垣間見れる作品だ。