Leeway (リーウェイ)
『Desperate Measures (デスパート・メシャース)』

Desperate MeasuresDesperate Measures
Leeway

Profile 1991-04-08
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91年に発表された2作目。前作に続き今作もブラジルのスラッシュメタル系レーベルマーキュリーから、全曲リマスタリングされ、8曲のボーナストラックが追加。デラックス版として再発された。

 

おそらくこの作品が彼らの最高傑作ではないのか、なぜなら前作のスラッシュメタルの折衷といういい部分の踏襲しつつも新しい要素を加えているからだ。今作では、前作と比べるとスピードこそ遅くなったが、その分グルーヴ感やラップやパワーメタルなど、幅広い音楽性を取り入れている。とくに進化の跡を感じられるのが、“ソフト・ウェイ・アウト”と“2ミニット・ワーニング”と“ザ・フューチャー (エント・ワット・イット・ユーズド・トゥ・ビー) ”。ソフト・ウェイ・アウト”ではザクザクと刻む重たく金属質のギターのリフを取り入れ、“2ミニット・ワーニング”ではラップ歌いまわしを、ハードコアに取りいれた。そして“ザ・フューチャー(エント・ワット・イット・ユーズド・トゥ・ビー)”ではファンクのリズムをメタル・ギターに合わせたサウンドを展開している。どれもあとにニューヨーク・ハードコア(とくにニュースクール系のバンドで)の主流となるサウンドを、いち早く取り入れているのだ。

 

もはや大幅にメタルを取り入れるとハードコアとは呼べないサウンドかもしれないが、当時ニューヨークではメタルとハードコアの両方のファンから愛されていた稀有な存在だったらしい。個人的にこの作品から、ハードコアらしさを感じることが出来るのが、金属質なギターのリフから感じられる、冷たく暗く緊迫感に満ちたシリアスな空気くらいだ。サウンドそのものはメタルだ。

 

だがこの作品は、マッドボールやバイオハザードなどの後世のバンドたちに、多大な影響をあたえた作品に間違いはない。なぜなら彼らが影響を受けた金属質なリフやラップの歌いまわしは、この作品の音からのインスピレーションを色濃く感じるからだ。そういった意味ではニューヨーク・ハードコアの歴史を語る上で重要な作品といえるだろう。