The Get Up Kids(ザ・ゲット・アップ・キッズ)
『Simple Science(シンプル・サイエンス)』

Simple ScienceSimple Science
Get Up Kids

Quality Hill Records 2010-04-23
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5年の歳月を経て復活を遂げ、10年に発表された1万枚限定の4曲入りEP。どうやらこの再結成は第一期と分けて考えたほうがよさそうだ。過去とまったく違う作風になっている。大手インディーズ、ヴェイグランドから離れ、自らが立ち上げたレーベル、フライオーバーから発売された。その姿勢からも分かるとおり、ディストリビューションからレコーディング、スタジオにいたるまで、すべて自分たちで管理している。何から何まで手作業。DIY精神をコンセプトに、この作品は作られたそうだ。そんな姿勢が反映されたせいなのか、サウンドもアティチュードも、すべての意味においてインディー精神を貫いている。

 

EPでは大衆受けするポップロックから離れ、アンダーグラウンドなインディーロックを展開。ベースのリフを中心に、エフェクトをかけたボーカルや、ネオサイケ、ポストロックの要素を取り入れ、じつに実験的。青空が広がる明るくポップな世界観から、深い霧がたちこめる森林を彷徨っているような幻想的な世界観に変化した。

 

個人的にはこの作品が好き。この変化を肯定的に捉えている。ここには第一期のゲット・アップ・キッズのコンセプトでもあった、子供ゆえの未熟な感情や、スウィートな失恋ソングはいっさいない。あるのは、感情を制御した大人のクールさと、幻想的で美しい世界。なによりカッコいい。真の意味でパンクしている作品だ。