Hot Water Music(ホット・ウォーター・ミュージック)
『Till the Wheels Fall Off(ティル・ザ・ホイール・フォール・オフ)』

Till the Wheels Fall OffTill the Wheels Fall Off
Hot Water Music

No Idea Records 2008-02-04
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08年に発表された2枚目のコンピレーションアルバム。06年に解散したホット・ウォーターミュージックだが、ここでは解散前の過去の作品が収録されている。年代順に表記すると、99年発表の14枚目のEP『ムーンパイズ・フォー・ミスフィッツ』から3曲、コンピレーションアルバム『Twelve Ounces of Courage』からガーランド・ジェフリーズのカヴァーと、『Return of the Read Menace』から新曲、計2曲を収録、クラッシュのトリビュート『City Rockers: A Tribute to The Clash』から1曲、レザーフェイスとのスプリット『BYO Split Series Volume I』から3曲。00年発表のノー・アイディア・レコーズのオムニバス『No Idea 100: Redefiling Music』からブルース・スプリングティーンのカヴァーを1曲。01年発表のホープレス・レコーズのオムニバス『テイク・アクション』からミッドナイト・オイルのカヴァーを1曲、オムニバス『アルファ•マザーファッカー』からノルウェーのパンクバンド、Turbonegroのカヴァーを収録、副腎の持病を患った11歳の少年、ロレンツォ・オイルへの寄付が目的で発売されたチャリティーアルバム『Living Tomorrow Today: A Benefit for Ty Cambra』からワシントンDCのハードコアバンド、カバメント・リイシューのカヴァーを収録、『ア・ファイト・アンド・ア・クラッシュ』のヴァイナル盤のボーナストラックから1曲。02年発表のエピタフ・レコーズのオムニバス『パンク・オー・ラマ7』から1曲、アルカライン・トリオとのスプリットから4曲。04年発表のオムニバス『パンク・オー・ラマ9』から1曲、ブッシュ政権の転覆が目的で発売されたファット・レックコーズのオムニバス『ロック・アゲインスト・ブッシュVol.2』から1曲。05年発表の『パンク・オー・ラマ10』から1曲。そこに未発表曲が1曲加わり、計23曲が収録されている。

 

曲の3分の2にあたる部分は、99年から01年にかけて制作されている。この時期彼らが発表したアルバムは、『ノー・ディヴィジョン』と『ア・ファイト・アンド・ア・クラッシュ』の2枚。彼らにとって全盛期に作られた曲たちなのだ。分厚いコードギターとメロディーギターが相克し、火花を散らす武骨で男くさく熱いサウンドを展開している。ただこの時期は、アルバム制作に全精力を注いでいたのだろう。彼らの魅力のひとつに複雑なメロディー・フレーズという個性があるが、ここではそんなに練られていない。シンプルで力強いパンク・ナンバーが目立つ。おそらくアルバムの選考からもれた、アウト・テイク的な曲を発表したのだろう。だがカヴァー曲を聴くと、パンク・ハードコアに対する一途な思いを持っていることが理解できる。スノッブでおちゃらけた大衆ポップスにまったく興味がないのだろう。アンダーグランド・ミュージックをこよなく愛している。そういった意味では、まじめに反社会的なことを考えている、まじめなバンドなのだろう。そのルーツにも共感が持てるし、ホット・ウォーター・ミュージックが好きな人には必須の作品だ。

 

なお、このコンピレーションの制作で再びメンバーが顔を合わせたのがよかったのかもしれない。この作品の発売をきっかけに再結成をし、1月と2月にツアーを行った。以前のように1年に1枚を発表するほど、タイトな日程で活動はしていないが、緩やかな活動を開始した。