Sense Field&Mineral&Jimmy Eat World(センス・フィールド&ミネラル&ジミー・イート・ワールド)
『スプリット』

97年に発表された3バンドによるスプリット。ミネラルは、フォークダンス調のムーディー曲に、ノイジーギターと音程の外れたボーカルをのせている。まるでハイソサエティーが集まる優雅なパーティーに、一般人が紛れ込んだような違和感。場違いな会場で真剣歌う姿は、いい意味で屈折している。周囲に下手でカッコ悪いと嘲笑されても、自分を貫いているカッコよさがある。

 

たいするジミー・イート・ワールドは、野太いギターのロックナンバーで、熱くエモーショナルに歌い上げ、センス・フィールドは、メロディーギターと野太いギターコードで、こちらも熱く歌い上げている。

 

ミネラルはオリジナルティーがあり完成されている印象を受けるが、ジミー・イート・ワールドとセンス・フィールドは、まだ自分たちのオリジナルティーが確立されておらず、情熱だけで先走っている印象を受ける。

 

この作品に関していえば、ぼくは後追いで聴いた。だが現在となっては、ありえない面子が集まり作った、貴重なスプリットといえるだろう。そこには、今までのバンドたちとは違った、エモーショナルでカッコ悪くてもいいといった雰囲気が漂っているし、新しい音楽シーンが生まれる兆しを感じる。エモの始まりを告げる1枚でもあったのだ。

 

このあとミネラルは解散し、センス・フィールドはメジャーデビューをきっかけに失墜し、ジミー・イート・ワールドだけが成功するといった、数奇な運命を辿ることになる。