SAVES THE DAY(セイヴス・ザ・デイ)
『Ups & Downs: Early Recordings and B-Sides』

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セイヴス・ザ・デイ

ビクターエンタテインメント 2004-09-16
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04年にヴェイグランドから発表された、デモや未発表曲を集めたレア・トラック集。その内容を説明すると、1は3枚目のアルバム『ステイ・ワット・ユー・アー』の収録からもれ、未完成だった2曲のうちの1曲。アルバム発表後に、この曲だけ完成させたという。2,3は、コンピレーションアルバム『アナザー・イヤー・オン・ザ・ストリーツ』から。4~7の4曲は、99年に発表されたアコースティックEP、『アイム・ソリー・アイム・リヴィング』から。8は、上記のヴァイナル盤のみに収録された曲。9は、ユース・オブ・トゥデイやシェルターなどで知られるレイ・キャポがコンパイルしたハードコア・コンピレーション『ザ・リヴァース・オブ・ハードコア:1999』から。デビューアルバム『キャント・スロー・ダウン』の1ヶ月後に発表された曲だという。10~14は、97年にセイヴス・ザ・ディを結成したときに、最初に録音したデモで、全部で9曲録音したそうだ。ここではそのうちの6曲収録されている。15は未発表曲。16はセイヴス・ザ・ディの前身バンド、SEFLERで発表された曲。当時15歳。この曲を収録した理由は、セイヴス・ザ・ディ最初に製作したデモから、『キャント・スロー・ダウン』と進んでいく、自身の成長の境界線がはっきりと見えるからだそうだ。17は、ディセンデンツのカヴァー。18はクラッシュのカヴァー。19は6のライヴバージョン。03年にテイキング・バック・サンディと一緒に周ったツアーで演奏された曲で、アコースティック・バージョンから、エレキギター、ドラム、ベース、シンセを加えたバンド・バージョンに変更されている。

 

この作品の意義は彼らの成長プロセスが如実に分かるところだろう。初期のころはスクリーチング・ウィーザルに影響を受け、バンドをはじめた。そしてゴリラ・ビスケッツやユース・オブ・トゥデイなどのハードコアの要素を加えていった。そのハードコア・サウンドをベースに、ライフタイムなどのメロディックな要素を加え進化してきた。ぼくがこの作品を聴いて感じたのは、彼らはパンク・ハードコアを愛してやまない人たちなんだということ。古くはミスフィッツ、90年代にはライフタイムを排出したニュージャージのハードコアシーンから、出てきた、先人たちの影響を受けたハードコアを展開し、尋常でないハードコアに対するこだわりを持っていた。だからパンク・ハードコアを捨てギターロックに路線を変えた『イン・レヴァリー』変化の理由が知りたかったわけだが。

 

あと個人的な意見を言うと、デモの曲はすべて収録して欲しかった。それとシングルのB面の曲も収録してくれれば、本当の意味でのレアトラック集になったと思うが。そのあたりが残念に思えた。曲のクオリティーを言えば、今とさほど遜色のない出来。この曲たちがアルバムに収録されていても、さほど不思議に感じない。それほど曲の完成度は高い作品だ。