Twitching Tongues(トイッチング・タングス)
『Preacher Man(プリーチャー・マン)』

12年に発表された3曲入りのEP。1曲目の“プリーチャー・マン”は、ポストハードコアな曲で、②の“フィード・ユア・ダディーズ”はブラストビートを中心としたグラインド・コアな曲。③の“アット・ザ・ギャローズ・エンド”はスェーデンのドゥームメタルバンド、「キャンドルマス」のカヴァー。前作よりもさらにメタル化が進んでいる。

 

このEPでは、ずいぶんと成長の跡が感じられる。とくに顕著なのが“プリーチャー・マン”。葬式の厳かな鐘の音で始まり、緊張と静謐をつむぐアコースティックから、激しさのなかに落ち着いた雰囲気を内包したドゥームへと変化していく展開の曲だ。ここではアコースティックからドゥームに変わっていくギターもさることながら、ゆったりとしたリズムからブラストビートに変速していくドラム、絞首台に1歩、1歩、近づいていくような緊迫した空気を紡ぐベースの音など、いろいろなジャンルのサウンドが融合している。

 

前作までは、ギター、ドラム、ベースなどの楽器は、ひとつの音楽からの影響をうけていた。そのひとフレーズを、組み合わせるという手法で曲を作っていた。それがこの曲ではドラム、ギター、ベース、ボーカルなどの個々の楽器は、べつ音楽から影響を受けている。個々の楽器が主張しながらも、ひとつにまとまっている。そのグルーヴ感がいい。それが技術的な成長の証なのだ。

 

キリスト教への背徳の匂いがぷんぷんするジャケットからも分かるとおり、世界観は今作も前作を踏襲している。彼らのよさを失わず、成長の跡を感じる作品なのだ。