Down To This(ダウン・トゥ・ディス)
The First Ten Years(ザ・ファースト・テン・イヤーズ)

今年の1月に発売されたノースカロライナ出身のニュースクール・ハードコア・バンドの200枚限定のコンプリート盤。09年に発売されたEP『Lifeblood(ライフブラッド)』から、11年の1stアルバム『Dirt City(ダート・シティ)』、14年に発売された2枚目のEP『Relentless(レレントレス)』の、いままで発売された3作品が収録されている。

彼らの特徴とは、オールド・スクールのシンプルなギターに、ニュー・スクールのストップ&ゴーなどのリズムやヒップホップな歌いまわしを合わせたサウンド。メタルからの影響があまり感じられない、骨太なハードコア・ギターサウンドが彼らの魅力だ。

サウンド全体からは、ギャングで不良の匂いがするニューヨーク・ハードコアからの影響が色濃く感じる。影響というよりもむしろニューヨーク・ハードコアを総まとめにしたような内容だ。スピーディーなサウンドからはAgnostic Front (アグノスティック・フロント)からの影響が伺えるし、ヒップホップな歌いまわしはMadball(マッドボール)、そして怒声のボーカルはSICK OF IT ALL(シック・オブ・イット・オール)とSheer Terror(シェラーテーラー)。ギターサウンドからはTERROR(テラー)からの影響を感じる。80年代から90年代、00年代と、3世代の特徴を網羅し、いいところだけを抽出し、ミックスしたサウンドなのだ。

初期のころから一貫してブレないクラシックなハードコアサウンド。そこには緊迫する日常のヒリヒリする空気が宿っている。