Woe (ウォエ)
『A Violent Dread EP (ア・バイオレント・ドレッド EP)』

フィラデルフィアのブラックメタルバンドの2作目のEP。正直、ぼくはこのジャンルに対して、深い知識はない。個人的なブラック・メタルの印象は、バイキングや悪魔のようなコスプレや、サタニズム、アンチ・キリストなどの精神性、音楽性よりも外見的なものを重視しているイメージがある。

 

彼らはブラック・メタルにカテゴライズされているが、そのサウンドからは、Neurosis(ニューロシス)やISIS(アイシス)などのポスト・メタルの影響を感じる。9分近く続くゆったりとしたリズムとノイズ・ギターの壁。そして不安と苛立ちと憤りが入り混じっているボーカルの怒声からは、まるでスロースピードで奈落の底へ落ちていくような深い絶望がある。アルバムジャケットのような世界観だが、その深淵に墜ちていく絶望には、まるでマゾスティックな快感がある。絶望と苦痛。苦痛が快感に変わるエクスタシー。それがこのバンドの魅力ではないだろうか。病んだ精神や現代病をうまく表現している。サタニズムとは違う魅力がある作品なのだ。