DEATH RAY VISION(デス・レイ・ヴィジョン)
Negative Mental Attitude(ネガティブ・メンタル・アティテュード)

OVERCAST(オーバーキャスト)&元KILLSWITCH ENGAGE(キルスイッチ・エンゲージ)のギターPete Cortese(ピート・コルテス)と、キルスイッチ・エンゲージ&オーバーキャストのベースMike D’Antonio(マイク・ダントニオ)に、FROZEN(フローズン)のドラムColin Conway(コリン・コンウェイ)、Chuggernaut(チュンガノート)のボーカルJeff Gard(ジェフ・グラード)によるメタルコア・バンドの18年の11月に発売された2作目。

 

もともとサイドプロジェクトとして始めたバンドで、近所に住む気心の知れた仲間たちが集まって結成。成り立ち自体、ラフな精神で気楽さが漂うバンドであった。だからキルスイッチ・エンゲージらしさのある作品を作らなくてはいけないという制約や、ファンの期待に応えなければならないというプレッシャーはなく、自分たちが好きな音楽だけを寄せ集め、好きなサウンドだけを奏でている。

 

今作ではボーカルのSHADOWS FALL(シャドウズ・フォール)&OVERCAST(オーバーキャスト)のBrian Fair(ブライアン・ファイアー)がセントルイスに引っ越しをしたため脱退。代わりにジェフ・グラードが加入。前作まで低いトーンの怒声で気合の入ったボーカルスタイルが、ハイトーンな歌い方に変わっている。そのためよりエネルギッシュでハイテンションなサウンドに変化した。

 

今作でも前作のシャドウズ・フォールをベースにしたメタルコア・サウンドに変わりはない。だが今作ではいろいろな要素を取り入れている。ハードコアの男くさく熱いシンガロング、不吉な空気を紡ぐスラッシュメタルなメロディーなリフ、MERAUDER(メラウダー)のような暴力的でパワフルに刻むリフ、苛立ちを激しいスピードと衝動にのせるブラストビート、メロディック・デスメタルの叙情的なメロディー。ハードコアの衝動的な勢いと、快感で常習性のある叙情的なスラッシュメタルのメロディーなど、熱くカッコよく爽快な気分になれるフレーズとリフのうまみだけをすくいとったサウンドなのだ。

 

アルバムタイトルは、Bad Brains(バッド・ブレインズ)が掲げたと正反対の意味を持つネガティブ・メンタル・アティテュード。否定的精神姿勢とは、最先端を追求せず、後ろ向きな、保守、否定、消極的といった音楽姿勢を保つことによって、失われてしまったメタルやハードコアの原点の魅力を再確認するような、意味が込められているようにも思えた。保守的精神だが、汗をまき散らすほど情熱に満ちた品なのだ。