Agnostic Front(アグノスティック・フロント)
『Get Loud(ゲット・ラウド)』

19年に発売された4年ぶり12作目。近年のアグノスティック・フロントは、Hatebreed(ヘイトブリード)やTerror(テラー)などの現在ニューヨークの主流となっているメタル色の強いハードコアを取り入れた作品を発表していた。今作では原点回帰な内容。

 

『cause for alarm(ケース・フォー・アラーム)』のアルバムジャケットを担当したSean Taggart(シーン・タガート)が今作のアルバム・ジャケットデザインを制作した事実が象徴しているように、今作では『cause for alarm(ケース・フォー・アラーム)』のころの、スラッシュ・クスロスオーバーを意識したサウンドを展開している。

 

アグノスティック・フロントのクロスオーバースタイルとは、畳みかけるようにボーカルスタイルと性急なハードコアのスピード感に、テクニカルなギターソロやOiなどを散りばめたスタイル。『ケース・フォー・アラーム』自体、世間では評価が高い作品であったが、ボーカルのRoger Miret(ロジャー・ミレット)は、曲作りにかかわっていないという経緯があって、このアルバムの曲が嫌いだそうだ。

 

だが素晴らしいサウンドだったため、『ケース・フォー・アラーム』似た作品を作り直したいという気持ちがロジャーのなかでどこかにあったのかもしれない。だから今回、リベンジしたのだろう。

 

畳みかけるようなボーカルと性急なスピードとOiを取り入れた部分では『ケース・フォー・アラーム』を踏襲している。だからといってけっして完コピというわけではない。野太くノイジーなギターや、重くスローパートなハードコアを取り入れたという部分では、今風な部分を取り入れている。テクニカなメタルギターを廃し、余分なぜい肉をそぎ落とした、シンプルで重くノイジーでOi度の高い男くさいハードコア。

 

ニューヨークでも治安の悪いエリアの出身で、過去に刑務所に2年間入っていた前科もあり、全身タトゥーまみれでワルの親分というイメージが強いアグノスティック・フロント。今作もそのイメージに違わず、気合の入った男くさいハードコアなサウンドと、ギャングのようなアティテュードを貫いている。