Copeland (コープランド)
『Blushing(ブラッシング)』


19年に発表された6作目。日本ではビューティフル・エモと呼ばれ、ピアノと清冽なギターを中心に、クリスチャンの美しい世界観を表現していたバンド。

 

初期のころから一貫して、クリスチャンの透明な美しさと、氷細工のような脆さと儚い悲しさに満ちた世界観を追求してきたサウンドに変わりはない。デビュー作の『Beneath Medicine Tree(ビリース・メディスン・トゥリー)』ではJIMMY EAT WORLD(ジミー・イート・ワールド)のようなエモに、クリスチャンの美しさを取り入れたサウンドを展開。続く『In Motion(イン・モーション)』では、ギター・ロックとピアノロックを取り入れた真冬のような悲しさを追求。3作目の『Eat、Sleep、Repeat(イート,スリープ,リピート)』ではデジタルとノスタルジックな要素を加え、さらに奥深さが増した。5作目の『Ixora(イソラ)』では、さらにデジタルを全面に出したアルバムと、作品を発表するごとに音楽的な深みが増し、確実に成長しきたのだ。

 

そして今作では前作のデジタル路線をさらに推し進め、デジタル・アンビエントな方向に進んでいる。寝ているときに見る夢が、今作のテーマだそうだ。“As Above, So Alone(アズ・アヴァーヴ,ソー・アローン)”では、残響するボーカルとギターが印象的で、“Night Figures(ナイト・フィガーズ)”では、深い森の奥で小鳥がさえずるような幻想的なサウンドを展開。終始穏やかで心地よい安らぎに満ちている。

 

悲劇的で絶望的な美しさを持ったサウンド。今作もビューティフル・エモといえる作品。それにしてもやはり暗い。聴き終わると陰鬱で深い悲しみに襲われる。まるでそこには繊細で弱い自分をさらけ出しているような強烈な被害者意識がある。不安や悲しみと争いと暴力に満ちた現実世界から逃避するような、美しさと穏やかな安らぎに満ちた心地よい世界。やはりそれがCOPELAND(コープランド)の変わらぬ魅力なのだ。