GETDEAD(ゲットデッド)
『Dancing with the Curse (ダンシング・ウィズ・ザ・カース)』

サンフランシスコはベイエリア出身のパンク・バンド4年ぶりとなる4作目。ベイエリアはブルーカラーの多い地域で、GREENDAY(グリーンディ)やRANCID(ランシド)などを輩出した地域としても知られている。

 

GETDEAD(ゲッドデッド)も、ベイエリアのバンドに多い、ストリートな不良の匂いがする、やさぐれたパンクバンドだ。そのサウンドからは、Operation Ivy (オペレーション・アイヴィー)やRANCID(ランシド)、Swingin’ Utters(スウィンギン・アターズ)などの労働階級をベースにした、ストリートパンクからの影響を色濃く感じる。そこにアコースティック・ギターを中心としたアイリッシュ・フォークやバルカン音楽、スカ、ネオ・アコ―スティックなどの要素を加え、オリジナルティーを確立した。

 

そして4作目となる『Dancing with the Curse (ダンシング・ウィズ・ザ・カース)』では、いままでになくパンクなサウンドに変貌を遂げた。前作まではアコースティック・ギターが中心のサウンドで、大人しくやさしいイメージがあったが、今作ではロックギターが中心。スカ・パンクな曲から、ストレートなパンクな曲など、総じて激しくエネルギッシュな曲が多い。

 

激しくエネルギッシュな作品に仕上がっているが、前作までの個性は失われていない。スカ・パンクな曲が多いが、50~60年代のノスタルジックな旋律と、パンクの激しさをうまいこと融合している。

 

アルバム全体には、シリアスな雰囲気に満ちている。しゃがれた声のボーカルは、いままでカラッとした枯れた円熟味に満ちていた。だが今作ではシリアスな歌声とエモーショナルな叫び声に変貌を遂げ、怒りに満ちた超高速のスタナンバーの“Hard Times(ハードタイムス)”や、アコースティックの“Glitch(グリッチ)”からは、緊迫感と憤りに似た感情を感じ取ることができる。まるで虐げられた者の抵抗のような、攻撃性がそこにはあるのだ。

 

エネルギッシュでフラストレーションを爆発させた作品。攻撃的に踏み出した今作は、いままでの作品のなかで一番激しくパンクをしている。最高傑作と断言できるほど充実した内容なのだ。