The Fight(ザ・ファイト)
『Endless Noise(エンドレス・ノイズ) 』

ニューヨークはロングアイランド出身のハードコア・バンドの、20年3月に発表された5枚目のEP。The Fight(ザ・ファイト)といえば、Chaos UK (カオスUK)ばりのノイズギターで重みのあるサウンドが特徴のバンドで、結成当時から一貫して、異端な存在感を放っている。

 

新世代のニューヨーク・ハードコアを象徴したバンドで、TRASH TALK (トラッシュ・トーク)以降のバンドに見られる、オールド・スクールをベースにした反骨心あふれる精神性を重視したハードコア・バンドだ。

 

The Fight(ザ・ファイト)は、UKハードコアをベースにしながらも、アラブのメロディーを取り入れ、押さえつけられた焦燥感に満ちたスピードと苛立ちに満ちた攻撃性で、スラム街に住む住人の怒りについて歌ってきた。

 

『終わりのないノイズ』と名付けられた今作では、権利や人権、財産を蹂躙する強者たちに対する怒りがテーマになっている。“The Clenched Fist of Human Greed(人間の欲への鉄拳制裁)”ではワーキングプアが増える裏側では、資本家たちがさらに富を増やしていると歌い、“Two on Every Corner(隅に2つ)”は、<警察国家、お前を打ち負かす、彼らはお前の命を奪うためにここにいる、彼らのバッジは憎しみを表している>と歌っている。まるでアトランタで起きた警察が黒人のレイシャード・ブルックスさんが射殺された事件を予見している内容だ。それほどほかの都市でもいつ起きてもおかしくなかった事件だったってことが証明できる内容なのだ。

 

勢いとスピードでぐいぐい押していくシンプルなハードコアだが、ここまで怒りという実直な想いがこもっているバンドもそうはないだろう。ポリティカルでリアリティーある怒りに満ちたハードコアな作品だ。

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