Last Gasp(ラスト・ギャスプ)
『Second Wave 2​.​0 (サウンド・ウェーヴ 2.0)』

クリーブランド出身のハードコア・バンドのデビューEP。激しく尋常でないテンションで絶叫する甲高いリアルな怒りが彼らの持ち味。

 

シンプルでスピーディーなイギリスの初期ハードコア・パンクよりのサウンドで、そこにAtari Teenage Riot (アタリ・ティーンエイジ・ライオット)のポリティカルな姿勢や、甲高いブチ切れ絶叫ボーカルを合わせた。怒りや嘆きといった感情で##といった思いを訴えかけている。彼らのハードコアとは、政治的な怒り。その姿勢は歌詞に顕著に現れている。

 

“Sun Through Trees(木々の間に差し込む太陽の光)”では、<強迫的な行動はナイフのように私を切り裂く、これを負の遺産として残すな>という歌詞があり、暗い絶望のなかでも一筋の希望の光明が差し込んでいると解釈できる意味を歌っている。“Just One Political Song(たった一つの政治の歌)”では、<欺瞞を暴露する、あなたを引き留めている壁を壊すハンマーになる>と歌詞で、抑圧しているシステムを壊して立ち上がれ、そして欺瞞を暴露しろと、自己啓発を喚起している。“Country Shaped Hole(カントリーシェイプの穴)”では、<北極圏にはもう氷がない。石油やガスを消費し温室効果ガスを大気中に増やすことを誰も気にしない>と、世界中で起きている地球温暖化について、いずれ人間が絶滅すると、警鐘を鳴らしている。

 

政治的な怒りに満ちた内容だが、ポジティブな意見が目立つ。現在は絶望的な状況だが、なんとかを変化させ、希望に満ちた未来へ変えていこうと努力する、理想に満ちた考えのバンドなのだ。

 

全身タトゥーまみれのバンドだが、マッチョで労働者階級特有の不良の匂いがするバンドではない。華奢でどこか文学的ないでたちがある。ヴィジュアル的な部分やブチ切れ具合、華奢ないでたちでは、Converge(コンヴァージ)に通ずるハードコアでもあるのだ。

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