Punitive Damage(ピューニティヴ・ダメージ)
『 We Don’t Forget (ウィー・ドント・フォーゲット)』

カナダはバンクーバー出身の、日本語で懲罰的損害賠償金と名付けられたアナーコ・ハードコア・バンドのデビュー・デモ。Discharge (ディスチャージ)直系の反戦を掲げているバンドで、Erdoglija Hardcore(EGxHC)と呼ばれるシーンに属しているバンドとしても知られている。

 

Erdoglija Hardcore(エロドリア・ハードコア)とは、セルビアの都市の名前で、おそらくスラブ系のハードコアという意味なのだろう。ボーカルのステフの父親は、ソビエト占領下のなかで育ち、レジスタンス活動に没頭し、友人が秘密警察で密告された経験を持つ。Punitive Damage (ピューニティヴ・ダメージ)は、その父親の理念を受け継ぎ、抑圧された人々の解放、国家や権力者との闘争、富裕層や支配者階級などの権威に立ち向かっていくことをモットーに掲げたハードコア・バンドなのだ。

 

Discharge(ディスチャージ)のUKハードコアや、CRO-MAGS(クロマグス)系のニューヨーク・ハードコア、Black Flag(ブラッグ・フラッグ)のストロングなハードコアを融合し、怒りで荒れ狂うサウンドを展開している。怒りを全力でぶつける怒声の女性ボーカルに、挑発的にうねる2ビートのギターとベース。スローテンポなハードコア・ナンバーを交えながら、尋常でない怒りをぶつけていく。そこにあるのは、雷が脳天に落ちたような峻烈な怒り。ものすごく迫力あるパワーとエナジーに満ちている。

 

『私たちは忘れない』タイトルが示す通り、いままで受けた屈辱や抑圧を忘れず、怒り、闘争していこうという姿勢が如実に現れている。ひさびさにものすごくストレートな怒りに満ちたハードコアな作品に出合った。まさにハードコアの原点中の原点といえる作品なのだ。

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