CHEMICAL FIX(ケミカル・フィックス)
『Revolver (リヴォルバー)』

フィラデルフィア出身のハードコア・バンドの2作目となるシングル。80年代後半から90年代前半のオールドスクールなハードコアをベースにしたサウンドで、American Nightmare(アメリカン・ナイトメア)や Carry On(キャリー・オン)、 Panic(パニック)などのバンドの影響がうかがえる。

 

このバンドの特徴はなによりも尋常でない気合の入ったサウンドにある。天を突くような怒声、暴力的にバリバリ響くノイズ・ギター、ビンビン響くベース、超高速ドラム。どのパートをとっても限界まで気力とエネルギーとパワーを振り絞った全快さがある。

 

前作では、アメリカ政権を批判したポリティカルな内容が多かったが、このシングルでは、内省的な内容に変わっている。<ショックは時間の経過した人生を始める~進化する方法はさらに成長する事~内省は皮肉を形成する~懐疑論者の永続的なサイクル>という歌詞が示す通り、自分自身を見つめ直しているのだ。そこには皮肉や批判精神は保持しながらも、もうひとつ上のレベルへ成長しようとする向上心がうかがえる。

 

このシングルではノイジーな要素が加わり、さらに過激にアグレッシブにパワーアップした。前作よりも確実に成長を遂げている。

 

Jesus Piece(ジーザス・ピース)やSoul Glo(ソウル・グロー)などのバンドの登場で、近年フィラデルフィアのハードコア・シーンに活気があふれ、良質なバンドたちが排出されている。CHEMICAL FIX(ケミカル・フィックス)も彼らたちと肩を並べるほど、尋常でないテンションにあふれたバンドなのだ。