Every Time I Die(エヴリ・タイム・アイ・ダイ)
『Radical(ラディカル)』

ニューヨークはバッファロー出身のメタルコア・バンドの9作目。このバンドもメタルコア界で独特なサウンドを展開している。サザンロックとニュースクール・ハードコアとメタルコアの融合で、自らの個性を確立した『Hot Damn!(ホット・ダム!)』そのサウンド路線を極め追求した『Gutter Phenomenon(ガッター・フェノメン)』と『The Big Dirty(ザ・ビック・ダーティ) 』。その後、クラッシクやハードロックなどを取り入れた『From Parts Unknown(フロム・パートズ・ノウン)』、ストナーロックの要素が強くなった『Low Teens(ロウ・ティーンズ)』など、『From Parts Unknown(フロム・パートズ・ノウン)』以降、サザンロックとメタルコアというサウンド路線に、別の要素を付け加え進化していった。

 

そして今作では、クラシカルで神秘的な要素から、マスコアやストナーロックの要素を合わせたメタリック・ハードコアな曲など、バラエティーに富んだ作品に仕上がっている。怒声が飛び交う気合の入ったボーカルとサウンドは健在だが、とくに印象的なのは、独特なギターフレーズの曲。まるで忍者映画のようなギターフレーズのようなワクワクした気持ちにさせられる“Planet Shit(プラネット・シット)”。

 

そしてなによりすごいのがメタルコアの最新版と呼ぶべきサウンドを展開している“A Colossal Wreck(ア・コロッサル・レック)”と“Desperate Pleasures (デスパレート・プレジャーズ)”。マシンガンのような超高速ドラムと、突風のように激しいギターが合わさった、突如静寂が訪れるカオティックな曲で、そこにはニュースクール・ハードコアとメタルコア、スロナーロック、マスコアが、ミキサーで攪拌し、怒りや狂気をスムージーにしたような混乱と無秩序なカオティックなサウンドを展開している。そしてなにより彼らの魅力は、古臭さを感じない、いまどきの近代的な音をメタルコアに落とし込んでいるところにある。それが『Radical(ラディカル)』の魅力なのだ。

 

9枚の作品を発表しながらも、制作意欲が衰えず、しかも弛緩した部分は一ミリもない。メタルコアを確実に進化させている作品なのだ。