Section H8 (セレクション H8)
『Welcome To The Nightmare (ウェルカム・トゥ・ザ・ナイトメア)』

ロスアンゼルス出身の新世代ハードコア・バンドのデビュー作。このバンドもハードコアのなかで、かなり独特なサウンドを展開している。UK初期ハードコアからOi、シンガロング、Agnostic Front(アグノスティック・フロント)、Suicidal Tendencies(スイサイダル・テンデンシーズ)、MADBALL(マッドボール)にMERAUDER(メラウダー)、SLAYER(スレイヤー)、Nails(ネイルズ)にいたるまで、数多くのハードコアやメタル、ピップホップを聞き込み、消化した後がうかがえる。

 

なによりこのバンドのすごさは、ハードコア界にない独特なサウンドを展開しているところにある。ドスの効いた怒声ボーカルのヒップホップな歌い回しが、独特なリズムを刻んでいく。高速でザクザク刻むノイズ・ギター。警告音のようなメロディーに、超スピーディーなハードコアな曲。ここには誰かの影響や、○○といったバンドのサウンドを進化させたような、他者からの影響があまり感じられない。○○と○○を合わせて、新しいオリジナルティーを作ったような、独創性があるのだ。

 

アルバム・ジャケットと歌詞のタイトルからは、まるでターミネーターのように、ロボットと人間による戦争をイメージさせる。ロボットによる人間への大量虐殺。悪夢と憎しみ。RANCID(ランシド)のTim Armstrong(ティム・アームストロング)がサブ・ボーカルで参加したUK初期ハードコア曲の“Street Sweeper(ストリート・スウィーパー)”もあり、顔面にまでタトゥーを入れたボーカルと合わせ、彼らの出自がストリートのおっかないやさぐれた不良であることが理解でいる。

 

激しくノイジーで気合の入ったサウンド。熱くアグレッシヴで攻撃的で、育ちの悪さが滲み出たハードコア。ハードコア界で今年のベスト10に入ってくるいい作品。