Worn (ウォーン)
『HUMAN WORK(ヒューマン・ワーク)』

ペンシルベニア州出身のパワーバイオレンス・バンドのデビュー作。GBHとChaos UK(カオスUK)をたし、ファストに味付けしたような、シンプルなハードコアをベースにしたパワーバイオレンス。

 

イギリスの古きハードコアやノイズ・コアをベースに、ファストに簡潔にしていくサウンド。パワーバイオレンスのようなファストな曲ではなく、ハードコアを短くした曲が多い。そこにクロスオーバー・スラッシュのギターソロやリフなどを加え、激しくノイジーでおどろおどろしいサウンドに仕上がっている。

 

<この世界に対する暴力的な反発であり、そっけない言葉とトーンで戦争の必要性に疑問を投げかけている。>という発言にあるように、歌詞には、戦闘や死といった生々しい言葉が目立つ。“MILITARY DOG (ミリタリードッグ)”では、<あなたを入隊させるために嘘を言われます。死ぬために取り残された戦闘>と歌い、“TOTAL DISEASE(総疾患)”では、< 病人から利益を上げ、弱者から利益を得る アメリカの生活様式>と歌っている。戦場の残虐で血なまぐさい場面をイメージさせる歌詞や、アメリカ社会全般を批判した内容が多く、残酷な描写からモチーフにした反戦がテーマになっている。

 

まさにパワーバイオレンスらしい反戦というアティテュードと、グロテスクなジャケット。エヴァンゲリオンのリリスのようなジャケットからは、いまどきの若者らしいセンスを感じるバンドなのだ。