Scowl(スカウル)
『How Flowers Grow Scowl(ハウ・フラワーズ・グロウ・スカウル)』

カルフォルニア州サンタクルーズ出身のハードコア・バンドのデビュー作。GBHのようなコードギターのみの飾り気のないハードコアをベースにしているバンドで、女性ボーカル、Kat Moss(キャット・モス)のドスの効いた低い声のボーカルが特徴的。

 

アルバムはノンストップで間段なくグイグイ押していく展開。そこには悩みや逡巡や葛藤などの情緒や弱さを挟む余地がなく、終始勢いが落ちることなくパワフルで豪快に突き抜けていく。

 

気迫と迫力に満ちた展開だが、そこには怒りや嘆きや憤りといった感情は感じられない。『花の成長方法』という意味のアルバム・タイトルには、自分との闘いや大自然でのサバイバルがテーマになっているようだ。“Four Walls(四つの壁)”や“Trophy Hunter(トロフィー・ハンター)”では、自分の弱さを克服し、強くなろうとする姿勢が伺える。

 

アルバムでゆいいつ曲の毛色が異なる“Seeds to Sow(種をまく)”では、ホーンが中心の曲で、ハスキーで低い声で歌い、挫折を受け入れた黄昏た感情で、それでもポジティブにゆっくり成長を待つような、また違った一面を見せている。

 

シンプルで豪快で激しく攻撃的ながらも、根底にあるのはポジティブな感情。まさしくクールでカッコいい女性。そんな言葉が似合うハードコア・バンドなのだ。