ENFORCED(エンフォースト)
『Kill Grid(キル・グリッド)』

バージニア州リッチモンド出身のクロスオーバー・スラッシュ・リバイバル・バンドの2作目。クロスオーバー・スラッシュ・リバイバルとは、スラッシュ・メタルにオールドスクールなハードコアを合わせたバンドたちのことを指しているシーンで、D.R.IやS.O.D.、Suicidal Tendencies(スイサイダル・テンデンシーズ)などに影響を受けたスピーディーなバンドが多く、まさにクロスオーバー・スラッシュのリバイバル・シーンなのだ。

 

先日ボーカルのRiley Galeが逝去したPOWER TRIP(パワートリップ)を筆頭に、IRON REAGAN(アイアン・レーガン)や、FORCED ORDER(フォース・オーダー)、Red Death(レッド・デス) MINDFORCE(マインドフォース)、JUDICIARY(ジュディシエリィ)、DRAIN(ドレイン)、LOWEST CREATURE(ロウウェスト・クリーチャー)、HIGH COMMAND(ハイ・コマンド)などのバンドを輩出し、5年経った現在でもシーンは活気づいている。

 

そのなかでもENFORCED(エンフォースト)は、ニューヨーク色がかなり強いクロスオーバー。ニューヨークハードコア特有の早口とラップの入り混じった歌いまわしを中心に、Oiやシンガロングスタイルのコーラス、スラッシュ・メタルの高速リフと、MINDFORCE(マインドフォース)やPOWER TRIP(パワー・トリップ)のようなノイジーで重いコードギターが入り混じった展開。

 

基本的なサウンドは前作の延長上にあるサウンドで、今作もスラッシュメタルなリフやスピーディーなサウンドにこだわりに見せている。ハードコア特有のシリアスさや怒りといった感情はない。汗がほとばしる熱く気合の入った根性論で、ドクロをモチーフとしたメタル特有のハードボイルドなカッコいいヴィジュアルとサウンドを追求しているバンドなのだ。

 

爽快な切れ味のあるクロスオーバーなサウンドで、聴く人を熱い気持ちにさせてくれるバンドなのだ。