End It (エンド・イット)
『Unpleasant Living (アンプレザント・リヴィング)』

ボルチモア出身のオールド・ハードコア・バンドの3作目のEP。今年のベスト5に入る素晴らしい作品で、これぞ新世代のハードコアと呼ぶべき、オリジナルティーあふれるサウンドを展開している。

黒人のボーカルが中心のバンドで、けたたましい勢いのオールドスクール・ハードコアを展開しているEnd It (エンド・イット)。バンド名は、おそらくNeglect(ネグレクト)のデビュー・アルバムのタイトル『End It (エンド・イット)』からバンド名を付けたのだろう。ヘイト・コアと呼ばれたNeglect(ネグレクト)のアティテュードを根幹にすえ、“BCHC(ボルチモア・シティー・ヘイト・クルー)”や“New Wage Slavery(新しい賃金奴隷制度)”、“Hatekeeper(憎しみの保持者)”など、搾取する資本家たちへの憎悪や、格差、警察の腐敗、宗教、人種差別などについて歌っている。

2ビートのシンプルで性急な勢いのオールドスクール・ハードコアをベースに、警察のサイレン、コンガの高速連射のリズム、ビートダウンするサビ、Oi、うねりをあげるギターなど、超早口のヒップホップの歌い回し、いろいろな要素が、Bad Brains(バッド・ブレインズ)のようなけたたましい勢いのサウンドのなかで巨大なミキサーのなかでブレンドされている。

そこには勢いがつきすぎて意識が吹き飛ぶほどのハイテンションさと、冷静ではいられない怒髪天という言葉を思い浮かべるほど、尋常でない怒りを感じる。理性がちぎれ飛ぶほどの超スピードのハイテンション・サウンド。

Gut Instinct(ガット・インスティンクト)やNext Step Up(ネクスト・ステップ・アップ)などのビートダウン・ハードコア・バンドに、Turnstile(ターンスタイル)からの影響を加え、End It (エンド・イット)ならではのオリジナルティーを加えた。ボルチモア・ハードコアの歴史を体系化し、進化の最前線にいるバンドなのだ。おそらく次ぎ発売されるであろうデビューアルバムは、相当話題になる作品になるだろう。