OFF(オフ)
『Free LSD (フリー・LSD)』

元Black Flag(ブラッグ・フラッグ)、元Circle Jerks(サークル・ジャークス)のボーカル、Keith Morris(キース・モリス)によるファスト・コア・バンドの8年ぶりとなる4作目。

2010年からコンスタントに活動を続けているバンドで、Keith Morris(キース・モリス)にしては珍しく12年経った現在も解散することなく精力的に活動を続けている。過去3作品は、RAMONES(ラモーンズ)を7 SECONDS (7セカンズ)のようにファストに仕立てたサウンドで、似通った内容だった。それが今作では過去の作品に類を見ないいろいろな要素を取り込んだサウンドを展開している。

今作でもファスト・コアがベースとなっている。だがRAMONES(ラモーンズ)のようなシンプルなサウンドがノイジーになり、チープなデジタル音やフリージャズ、ブルース、インダストリアルなどを取り込み、独特なサウンドに仕上がっている。

まさにコズミック・サイケデリア・ファストコアとでも呼ぶべきサウンドで、星々に彩られた神秘的な宇宙に、ウルトラセブンのオープニングようなサイケデリックな色合いが交じり合う幻覚的な世界。ヒッピー時代のサイケデリックな要素を、ファスト・コアと融合した作品。

どうやらLSDの限界体験がアルバムのコンセプトになっているようだが、歌詞は富を搾取する資本家の際限なき欲望を反対する内容でしめられている。LSD体験と照らし合わせると説得力のない歌詞だが、それもKeith Morris(キース・モリス)の魅力のひとつだろう。

曲によってはテンポが悪く冗長に感じられる部分もあるが、歳を取ってもない新しいことにチャレンジしていく姿勢には、すばらしい。個人的にはこの作品が彼らの最高傑作に挙げたい。