Ä.I.D.S.(エイズ)
『The Road To Nuclear Holocaust (ザ・ロード・トゥ・ニュークリア―・ホロコースト)』

スウェーデン出身のハードコア・バンドのデビューEP。いやこれがハードコアという枠では収まらない、独創的ですごいサウンドを展開している。

80年代の日本のハードコアや執拗に繰り返される2コードのギターの古きハードコアのスタイルに、スターリン・オルガンと呼ばれるチープなプログラミング・シンセとドラムマシーンが融合する、独創的なサウンドスタイル。まさに異端。最先端のサウンドを追求し進化したというよりも、対極にある廃れたものを寄せ集め融合した変種進化。

エイズと名付けられたバンド名からも悪意を感じるが、作品全体からも憎悪がみなぎっている。『The Road To Nuclear Holocaust(核爆弾投下によるホロコーストへの道)』というタイトルが示す通り、歌われている内容は、“Annihilation Of Hell(地獄の消滅)”、“Afterworld Trash(死後の世界のゴミ)”、 “Sadistic Gravity(サディスティックな引力)”などの核戦争後の荒廃した世界。

核爆発のような激しいノイズまみれのギターと、コンピューターに制御されたチープなデジタル音が、無機質に人を殺していく非情さを想起させる。個人的にはEnd It (エンド・イット)と並び、この作品も今年のベスト5に入る素晴らしい作品。