ENVISION (エンヴィジョン)
『SACRED HEART / ADVENT(セイクリド・ハート/アドベント)』


フィラデルフィア出身のストレートエッジ・ハードコア・バンドの5作目のEP。日本語で“思い描く”という意味のバンド名を持つENVISION (エンヴィジョン)だが、(Sense Field)センス・フィールドの仏像のジャケットの『Sense Field (センス・フィールド)』やクリシュリナ教をハードコアに取り入れたShelter(シェルター)やニューヨーク・ハードコア・バンドの10と同じく、仏教をハードコアに取り入れたバンドだ。

初期のころは、Youth of Today (ユース・オブ・トゥディ)に影響を受けたユース・ユール系のサウンドを展開していたが、アルバムを重ねるごとに、エモーショナル・ハードコアな要素などを取り込みながら、ハードコアに深みを増した進化を遂げてきた。

日本語で『聖心/降臨』と名付けられた今作では、ユース・ユール系ハードコアをベースに、ブラストビートや、叙情的なメロディーギターなどを加えながら、前作よりもさらにブラッシュアップされたサウンドを展開している。迷走や悩みに満ちた慟哭するボーカルに、分厚いギターに繊細なメロディックギターが絡み、苦難な道を疾走していく。

“Sacred Heart(聖心)”では、<この主張には何が伴う?>とい歌い、“Advent()”では、<この人生の苦しみから目を覚ますのが怖いと、心は叫んでいる >と歌っている。そこには苦しみは避けられず、受け入れるとか、仏教的な考え方がある。苦しみを受け入れ成長していく、そんな姿勢がバンド全体から感じられるのだ。

弱化リズム感が悪い部分も感じられるが、彼らしかない個性がある。これからの成長が期待できるバンドなのだ。