World of Pleasure(ワールド・オブ・プレジャー)
『World of Pleasure & Friends (ワールド・オブ・プレジャー&フレンズ)』


カナダはカルガリー出身の、女性ボーカルJess(ジェス)と男性ドラムのColter(コルター)の2人で結成された、ヴィーガン・ストレートエッジにして最新ヘヴィネスを追求したバンドの2作目のEP。

前作では、Jesus Piece (ジーザス・ピース)や初期CODE ORENGE(コード・オレンジ)に近い、革新的なハードコア・サウンドにメルヘンな要素のコントラストという独特なサウンドを展開していた。今作でもそのサウンド路線を踏襲。メルヘンな部分はとことんメルヘンに、ヘヴィーな部分はとことんヘヴィーにと、前作よりもさらにパワーアップしたサウンドを展開している。

土石流のような激しいノイズが、任天堂のゲーム『星のカービィ』のようなメルヘンな世界に、突如変わるマッドなサウンド。最先端のヘヴィネスをベースにした激しいサウンドにはメロディーギターや変則的なドラムなどのテクニカルな要素が加わっている。メルヘンなチープなシンセには、バーチャルなデジタル音などが加わり、よりメルヘンにブラッシュアップしている。理性が吹き飛ぶような急激な激しさが、急にメルヘンな世界に変わるという狂気に満ちたハードコア。今作でもWorld of Pleasure(ワールド・オブ・プレジャー)独特のサウンドは健在なのだ。

今作では、1曲ごとにメタリック・ハードコア界の重鎮をゲストに迎え、曲作りに参加している。“Domination 2(ドミネーション2)”では、デトロイトのストレートエッジバンドTrue Love(トゥルーラブ)のDominic Vargaz(ドミニック・ヴァーガズ)をゲストに迎え、“Carbon Copy(カーボン・コピー)”では、スコットランドのハードコアバンドDespize(ディスパイズ)のShaun Alexander(ショーン・アレクサンダー)が参加。“Everybody Finds Love(エブリバディー・ファインズ・ラブ)”ではワシントン州シアトル出身のヴィーガン・ストレートエッジ・ハードコア・バンドSafe And Sound(セーフ・アンド・サウンド)のJaxon Craig(ジャクソン・クレイグ)が参加し、“Penitence(ペニテンス)”では、アイダホ州ボイジーのメタリックハードコア・バンドWitness Chamber(ウィンネス・チャンバー)のChad Pingree(チャド・ピングリー)が参加している。

どの曲もメルヘンとヘヴィネスのコントラストというサウンドフォーマットを踏襲しながらも、個性的な曲に仕上がっている。“Domination 2(ドミネーション2)”ではマスコアのような要素が強く、“Carbon Copy(カーボン・コピー)”や“Everybody Finds Love(エブリバディー・ファインズ・ラブ)”や“Penitence(ペニテンス)”はファストで最新ヘヴィネスの要素が強い。男女のシンガロングスタイルを取り入れるなど、1曲ごとに個性の違いを感じるサウンドなのだ。

この作品も2022年のベスト10に入ってくるほどインパクトの強い作品で、次に発売されるであろうフル・アルバムは、かなりの話題となる作品になるだろう。それほどインパクトの強い個性をバンドなのだ。