Combust(コンバスト)
『Another Life(アナザー・ライフ)』

ニューヨーク・ハードコアの新世代を代表するCombust(コンバスト)のデビューアルバム。17年から活動しているバンドで、過去に2枚のEPとシングル4枚を発表している。Agnostic Front(アグノスティック・フロント)やKilling Time(キリング・タイム)やBreakdown(ブレイクダウン)などの、タフガイと呼ばれるギャング系アティテュードを継承し、スピーディーなオールドスクール・ハードコアなサウンドを展開している。

前作までは、ヒップホップの歌いまわしと、スラッシュメタルなギターが特徴の80年代オールドスクール・ハードコアを展開していた。今作でも80年代ニューヨーク・ハードコアを、現代によみがえらせたサウンドに変わりはない。若干変わった部分があるなら、スローテンポからピッチアップしていくMadball(マッドボール)っぽい曲など、新しい要素が加わっている。

歌詞は、個人的な内容でしめられている。そこには他人に対する怒りがテーマになっている。“Why I Hate(嫌いな理由)”では<俺が感じるのは失望と怒りだけなので、愛は輝いて見えることはない>と歌い、“ナイフ”では、<遅かれ早かれ彼らはあなたを突き刺す>と歌っている。

ここで歌われるのは、誰もが感じる日常生活での怒り。自分に対して害や不快な気持ちにさせる奴への怒りに満ちている。やりきれない日常の怒りやフラストレーションを、爆発させるような怒りの衝動に満ちたハードコアにぶつける迫力あるサウンド。けっして目新しいハードコアではないが、怒りを発散させスカっした気持ちになれるサウンドなのだ。ニューヨーク・ハードコアへの多大な敬意と愛情を感じるバンドなのだ。