Mindforce(マインドフォース)
『New Lords (ニュー・ローズ)』

ニューヨーク・ハードコア・クロスオーバー・スラッシュ・バンドの2作目。Forced Order(フォースド・オーダー)やPOWER TRIP(パワー・トリップ)、RED DEATH(レッド・デス)などのバンドを中心に、クロスオーバー・リバイバル・ブームが起きているが、Mindforce(マインドフォース)もその中のひとつ。

80年代のころからニューヨークのクロスオーバーは、ほかの地域と比べると独特な混ざり方をしたバンドが多いと言われているが、Mindforce(マインドフォース)も異彩を放っている。Leeway(リーウェイ)のハイトーン気味のボーカルとスラッシュメタルなギターサウンドをベースに、All Out War(オール・アウト・ウォー)のスローテンポのニュースクール・ハードコアなどを融合した。オールドスクールからニュースクールへと変遷したニューヨークハードコアの歴史と伝統をしっかりと受け継いでいるバンドなのだ。

Leeway(リーウェイ)のようにハードコア色の薄いクロスオーバー・スラッシュだった前作と比べると今作ではオリジナルティーを確立している。スピーディーでヒップホップな歌い回しのニューヨーク・オールド・スクール・ハードコアから、Leeway(リーウェイ)、king Diamond(キング・ダイアモンド)、Forbiddenにいたるまでニューヨーク・クロスオーバー・スラッシュのいいところだけを抽出したギターのメロディとリフ。まるで合体怪獣タイラントのように、いい部分だけを結合して、最強となったギターサウンド。いろいろなギターフレーズが目まぐるしく変わりながらも、ハードコアのスピード感や重厚なリフと、重厚なハードコアと軽快なメタルが変な混ざり方をした、いびつなクロスオーバー・スラッシュ。80年代と90年代の新旧のメタルとハードコアがごちゃまぜになったMindforce(マインドフォース)ならではの、新しいスタイルを確立しているのだ。

これはクロスオーバー・リバイバルではなく、クロスオーバーの進化系。新世代ならではのクロスオーバー・スラッシュの新しいスタイルを提示している。80年代のメタルのジャケットとシュールレアリスムが混ざったジャケットも素晴らしい。ハードコアの新しいスタイルを提示してという部分で、この作品も昨年のベスト10に入る素晴らしい作品だ。