Candy(キャンディー)
『Heaven Is Here (ヘヴン・イズ・ヒア)』

ヴァージニア州リッチモンド出身のハードコア・バンドの2022年に発表された2作目。前作の『Good To Feel(グッド・トゥ・フィール)』からさらにパワーアップした、Full Of Hell(フル・オブ・ヘル)などのバンドと同等格の、モダン・ヘヴィネスの最前線にいる作品に仕上がっている。

前作『Good To Feel(グッド・トゥ・フィール)』も、最新ヘヴィネスの最前線にいる作品であったが、今作では、灰野敬二のようなノイズ度が増し、エレクトロ、メタルコア、インダストリアル、ノイズ・ミュージックにデスメタルにいたるまで、この世の不快さや不吉、邪悪なものすべてをぶち込んだ。音が割れた過酷なノイズの波が激流にのって電子音楽と衝突し、暴力的なサウンドを形成している。ドス黒い煙が竜巻のように上昇気流に乗って天に舞い上がるサウンドは、その煙を吸えばたちまち邪悪に変化するような邪悪な瘴気が漂っている。耳障りな不快なノイズ、エラー音のように不協和音を連打するインダストリアル・ドラム、暴力的な音圧のギター、音が悪いことが前提で作られた作品で、すべてが邪悪で暴力的なのだ。

ここに広がるのはまさに地獄絵図のデストピア。『Heaven Is Here(天国はここにある)』というタイトルには、逆説的な意味がある。ボーカルのZak Quiram(ザック・キラム)は、「自分自身の地獄/私は地獄で燃えている」と叫び、阿鼻叫喚のボーカルや不安と焦燥に満ちたスピードのサウンドからは、阿鼻地獄や大焦熱地獄で焼かれているような世界を表現している。

去年一年のなかで、一番不快で、過激なヘヴィネスな作品は何かと聞かれれば、まちがいなくCandy(キャンディー)
『Heaven Is Here (ヘヴン・イズ・ヒア)』を挙げるだろう。これは現代ヘヴィネスの最先端の作品であり、唯一無二の過激な個性を持ったすごいサウンドの作品だ。