Never Ending Game(ネバー・エンディング・ゲーム)
『Outcry(アウトクライ)』

デトロイト出身の新世代ハードコア・バンドの2作目。デビュー作はHatebreed(ヘイトブリード)の分厚いギターサウンドに、Cold As Life(コールド・アズ・ライフ)の臨場感に満ちたハードコアを融合した作品だったが、今作ではさらに深化した作品に仕上がっている。

今作では、前作で確立した重くプレスしたような独特なギターサウンドと、ドスの効いた低音のデス声をベースに、ニューヨーク・ハードコアから、Zulu(ズール)のようにサンプリングを挿入した曲、メタリックハードコアな曲、シンフォニックなメロディーのメタルの曲など、新旧メタルや新旧ハードコア問わず、いろいろなスタイルを詰め込んでいる。1曲として似通った曲のないバラエティー豊かなサウンドに仕上がっている。

デトロイトらしい治安の悪さや、廃屋、荒れ地、失業と貧困という、うらぶれた街の空気を見事に封じ込めた作品で、歌われている内容は、うらぶれた街の復興や、けっして死なないなど。だがそこにはそのうれぶれた状況から、這いあがろうとする熱い魂や逆境を力に新しく生まれ変わろうとする闘争心がある。

Negative Approach(ネガティヴ・アプローチ)から始まりCOLD AS LIFE(コールド・アズ・ライフ)へと続くデトロイト・ハードコアの伝統を受け継いだバンド。そしてそこに80年メタルから00年代メタルまでの新しい要素を加え、ハードコアの新しいスタイルを提示した作品。今年のベスト5に入ってくるほどオリジナリティがあり素晴らしい作品だ。