Lifetime(ライフタイム)とKid Dynamite(キッド・ダイナマイト)でのギターで知られるヴォーカルのDan Yemin(ダン・イェミン)を中心としたフィラデルフィア出身の激烈ベテラン・ハードコア・バンドの4作目。ギターのフレーズがしっかりとしたハードコアパンクに近いサウンドで、アルバムによっては、メロディックな作品やガレージっぽい作品も展開していた。本作ではストップ&ゴーやシンガロング、扇情的なメロディーギターなどを交えたハードコア/パンクを展開している。
そのサウンドはBLACK FLAG(ブラッグ・フラッグ)やCIRCLE JERKS (サークル・ジャグス)などの彷彿とさせる屈強でテンションが高くパワフルなハードコア。とくに荒々しいギターが印象的で、宗教や陰謀論の狂人、アメリカの偽善といった内容がテーマになっている。
歌詞は、<俺たちがつながりを断ち切り、真実と嘘の区別がつかなくなったときに、それが権力の手に役立つ>と歌った「Exploitation Period (搾取時間)」から、<頂点にいるのは孤独だと思うか? 底辺に落ちてみろ>と歌った「Serf City, U.S.A(サーフ・シティ・USA)」など、庶民階級層が分断することによって、富を搾取する富裕層への怒りを歌っている。まさにパンクらしい反体制を貫いている。
サウンド的にも歌詞的にも80年代的なノスタルジーを感じるが、いまや失われつつある、富裕層や体制に向かう、怒りに満ちたパンク精神は素晴らしい。