フランスはパリ出身のメタリック・ハードコア・バンドの1stアルバム。EP1枚とシングル2作を経て発表された作品で、最高傑作と呼びたくなるほど完成度が高く仕上がっている。
ミドルテンポのサウンドを中心に、中世の因習からくる冷たく妖しげなフューリーエッジのギターや、ブラストビート、ビートダウンなどを交えたドラムとベース、怒声ヴォーカルなど、厳かな静けさを紡ぐベースの重低音、魔界のような妖しさと不吉なメロディー、メタリック・ハードコアのいろいろな要素が、複雑に入り混じっている。
歌詞は「愛の道から迷い、もう私の顔を見ることはないだろう」と歌った“Badlands(バッドランズ)”から、「私が望むのは平和だけ 男の呪いは永遠の悲しみ」と歌った“The Eternal Grief(永遠の悲しみ)”、「抱きしめて 君の暗い半分を見てみたい 愛しい炎を煽る」と歌った“Devotion(献身)”、「安堵は特権 血を流せばまた苦しむだろ」と歌った“In the Arms of Mortality(死の腕の中で)”など、怒り、悲しみ、憤り、苦悩、絶望など、成就することのない愛への苦しみとメランコリックな感情を歌っている。
メタリック・ハードコアのヘヴィーで激しい重低音から、妖しげで神経質な悲しみと物憂げなメロディーまでが複雑に入り混じった、ローカライズにガラパゴス的な進化を遂げたメタリック・ハードコア。かなり独特で変わった個性のある作品。