ボストン出身のメタリック・ハードコア・バンドの18年ぶりとなる4作目。初期のころは、スクリーモに近いエモーショナル・ハードコアと、ギターフレーズが2転3転していく展開を融合した独特な00年代スタイルのハードコアを展開していた。
18年ぶりに発表された今作では、メロディーや多彩なフレーズを排除し、よりヘヴィーに、よりシリアスに、よりメタリックに変化した作品に仕上がっている。とくにヴォーカルはドスの効いたデス声に替わり、ハードロック的な要素やダウナーで妖艶なギターアレンジをちりばめながらも、終始激しいく重いフレーズに変化。
『抑圧の道具/欺瞞による支配』という意味のタイトルで、歌詞は「絶滅が至る所にある。、火事、洪水、飢餓、戦争、憎悪、絶望、死、崩壊」と歌った“(預言者と破滅)”から、「全ての生命を終わらせるための最終戦争 権力闘争 支配のための闘争」と歌った“権力闘争”、「恐怖の中に閉じ込められる、逃げ場はない」と歌った“恐怖の中で生きる”、「血と涙の歴史の中で、暴力と死のスパイラルが始まる」と歌った“滅びゆく国”など、まるでジョージ・オーウェルの「1984年」のような支配者階級層に言論統制され、支配者層の利権のために絶えず繰り返される戦争を想起させるデストピアな世界を歌っている。
All Out Warをミドルテンポにし、さらにメタリック・ハードコアに仕立て、怒りと絶望と嘆きや憤りの激しさに満ちたヘヴィーなサウンド。All Out War系ハードコアの進化の最前線にある作品だ。